ネットによって芸能界は変わったという兼近

「ネットによってタレント、事務所、メディアのパワーバランスが崩壊」

兼近:こうした状況になったのは、ネットの力だと思っています。これは確実にそうで、ネットが古い体質を白日の下に晒してしまうようになったんですよね。たとえば、事務所とかテレビが自らにとって都合の悪い芸能人を外すとか、干すとかしたとしましょう。

 すると「それは間違えているよ」「それはパワハラでは」というのをネットが大きな声で指摘する。事務所が「干す」という行為をした場合は、納得できる理由を出さなくてはいけないんですよ。ネットがなかったら、“事実”として世に出ていたウソもあるわけです。でも、本人が「違います。マジ萎えぽよ!」なんてツイッターで発信したら、事務所もダメージをくらうわけです。

――萎えぽよ!

兼近:そんなことから、事務所は正しい方法しかできなくなったわけです。正義感というか、いや、正真正銘の正義でなくてはいけなくなったのです。元NGT48の山口真帆さんの件がでかいかなと思います。

――いわゆる「暴行事件」の際、運営会社の会見中に山口さんがツイッターで「リアルタイム否定」をした件ですね。

兼近:正しさを求める日本の社会では、ウソをついたり、悪いことができなくなっている。そういう意味では、正しくない情報が流れなくなるのもネットの現状。タレントとしてはいわゆる“大きな力”にビビる必要がなくなりましたし、味方をつけやすくなったといえましょう。今は自分で事実を発信できるようになりました。事務所とタレント本人とメディアのパワーバランスがネットの発展により崩壊したのです。

りんたろー。:ただし、何か問題が発生した場合は、その番組とか特定個人のことでその当事者と話し合ってクリアしていけるものはクリアしていけばいいと思います。いきなりドカーンと告発するのではなく、一旦話し合って解決を図ってもいい。それで解決しなかった時にネットを使ってもいいのでは。

 YouTubeとかは面白いと言いますが、クリエイティブなものをずっと作ってきたのはテレビだと思っています。その人たちが本気を出してきたら敵わないですよ。YouTubeの本気とは違う方面になると思う。YouTubeって、テレビの層と見ている層が全然違うもの。ぼくたちは色々な層に向かってメッセージを投げかけたいと思っているからこそ、テレビにも出るしネットでも発信しています。

 外でおじさん、おばさんに話しかけられる時はいつも「テレビ見ていますよ~」と言われるので、テレビの重要性もYouTubeのすごさも分かっています。だからぼくたちは両方やりながら、自分たちにとって、発信しやすいツールを選んでいく感じでいきます。今でもぼくはテレビも好きですし、「テレビってすごいんだぜ! いいもんだぜ!」という時代に戻せないかな、とも感じています。その一方、「YouTubeって細やかだぜ!」とも言いたい。色々利用して発信していきたいものです。

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