国際情報

「税逃れのトランプ」は学生時代から有名な嫌われ者だった

必死に反論するも証拠も説得力もなし(CNP/時事通信フォト)

 米紙ニューヨーク・タイムズは、トランプ大統領が就任前の15年間のうち計10年間にわたり、所得税を一切納めていなかったと報じた。本人は即座に否定したが、納税申告書など証拠となる書類は開示していない。また、大富豪と言われてきた同氏のビジネスが、実際は窮地に陥っていたことも暴かれた。リアリティショーの司会者として名を売ったトランプ氏の「リアル」が、いよいよ暴かれようとしている。トランプ氏と同世代で、ニューヨークのビジネス界で同時代を生きてきたジャーナリスト・佐藤則男氏がリポートする。

 * * *
 とうとうその時がやってきた。4年前にトランプ大統領が誕生した当時、筆者を含め多くのアメリカの報道関係者やビジネスパーソンがとっさに思ったことは、トランプ大統領は納税申告書の開示を要求されるだろうが、それはできないのではないか、ということだった。納税の開示は法定の義務ではないが、歴代大統領が守ってきた慣例である。アメリカ人としての義務をきちんと果たしていることを広く国民に示すためである。

 しかし、トランプ氏にはそれは難しいと思われた。税金を一切払っていないという噂は当時からあり、少なくともかなり際どい税逃れをしていることは容易に想像できた。大統領が率先して税金を逃れているということは、ほとんどの納税者にとって許しがたいことだ。まして、大企業グループの経営者、いや「王」のような存在の男である。

 筆者が、トランプ氏は納税していないと早くから確信していた理由は巷の噂だけではない。筆者の友人で不動産投資の天才であるT氏のおかげであった。同氏は不動産プロジェクトを自ら手掛けて成功している。ハーバード・ロースクールを首席で卒業した男で、その頭脳の明晰さにはいつも驚かされた。金融機関や個人投資家から融資を引き出す交渉力にも長け、多くの銀行や富豪がT氏に協力してきた。

 T氏の成功を助けたのはインフレである。アメリカ経済が成長してインフレが続いた時代、彼の持つ不動産の市場価値はどんどん上がった。T氏はその頭脳を駆使して、値上がりした不動産を担保にどんどん資金を増やしていった。借りた金は収入ではないから税金がかからない。担保もあるから自由に使える。T氏は絵画を買ったり、競走馬を買ったりして、夏は避暑地の豪邸で過ごしていた。

 しかし、不況がやってくるとT氏は苦境に立たされた。投資家から集めた資本金は返さなくてもいいが、金融機関からの融資は返済を迫られた。一時はT氏もこれまでかと思った時期もあったが、ある中東の王族が資金バックアップを申し出て、そのピンチを救った。才能と実績があったために、命拾いしたのである。

 不動産ビジネスというものは景気に左右されて天国も地獄も見る。トランプ氏のストーリーも大体T氏と似たりよったりのはずだった。もちろんトランプ氏の場合、T氏よりさらに規模が大きく、業界のボス的存在だったため、取引相手はもっと大物揃いで、資金面ではロシアのプーチン大統領や日本のトップビジネスと話ができる存在だった。しかし、それだけに損失も大きかったはずだ。大統領になる前の10数年間は、トランプ氏の手法で不動産ビジネスが成功したはずがないと思われたのである。

関連記事

トピックス

各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
理論派として評価されていた桑田真澄二軍監督
《巨人・桑田真澄二軍監督“追放”のなぜ》阿部監督ラストイヤーに“次期監督候補”が退団する「複雑なチーム内力学」 ポスト阿部候補は原辰徳氏、高橋由伸氏、松井秀喜氏の3人に絞られる
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン
メキシコの有名美女インフルエンサーが殺人などの罪で起訴された(Instagramより)
《麻薬カルテルの縄張り争いで婚約者を銃殺か》メキシコの有名美女インフルエンサーを米当局が第一級殺人などの罪で起訴、事件現場で「迷彩服を着て何発も発砲し…」
NEWSポストセブン
「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年11月6日、撮影/JMPA)
「耳の先まで美しい」佳子さま、アースカラーのブラウンジャケットにブルーのワンピ 耳に光るのは「金継ぎ」のイヤリング
NEWSポストセブン
逮捕された鈴木沙月容疑者
「もうげんかい、ごめんね弱くて」生後3か月の娘を浴槽内でメッタ刺し…“車椅子インフルエンサー”(28)犯行自白2時間前のインスタ投稿「もうSNSは続けることはないかな」
NEWSポストセブン
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン