国内

後絶たぬ子どもの「車中放置」 厳罰化の必要性と監視強化案

子どもの車内置き去りが危険な行為だと気づいていない親が多い

子どもの車内置き去りが危険な行為だと気づいていない親が多い

 8月に高松市で幼い姉妹2人が乗用車内に長時間置き去りにされて死亡した事件。保護責任者遺棄致死罪で起訴された母親は、以前にも複数回にわたって子どもを車内に残し、繁華街で飲酒していたと供述しているという。こうした痛ましい事件が度々報道されても後を絶たない「車中放置事件」。子どもの命を救うにはどうしたらいいのか。作家の内藤みか氏がレポートする。

 * * *
 毎年、夏になると子どもが車中に置き去りにされ、熱中症で亡くなってしまう事件が起きてしまいます。こうした事件が繰り返し報道されても、子どもの命を粗末にする親が後を絶ちません。

子どもを車に閉じ込める親の“言い訳”

 今夏、高松で起きた姉妹熱中死事件も衝撃でした。20代の母親は自分が飲み歩きたいがために2人の女の子を乗せた車を真夏の深夜の駐車場に放置したのです。朝方までに戻るのなら大丈夫だと、母親もそう思っていたそうなのですが、飲んだ後に知人男性の家に寄り、昼まで放置し続けて、最悪の事態を招いてしまったのです。

 車を持っている人にとって、車内は部屋のようなプライベート空間という感覚があります。

 車に子どもを残す親に「子どもは寝ていたので、起こして買い物に同行させたらかわいそうだと思った」「うちの子はおとなしいし、大丈夫だと思った」などと言う人が多いのも、家で留守番させるのと近い気持ちがあるからではないでしょうか。車内放置が危険な行為だということに気づいていない人は、大勢いるのかもしれません。

 2018年にJAFが発表したデータでも、子どもを車中に残したまま保護者がクルマを離れ、「キー閉じ込み」の救援要請が8月の1か月間だけで全国200件以上もあったそうです。

置き去りにされた子どもの気持ち

 私自身も、5歳の時に親に車中放置されたことがあります。といっても父親が知人宅に挨拶に行っている間、1時間ほどの出来事でしたが、かなりの心細さを味わいました。私の場合、車は路上に停められていたので、通りがかりの知らないおじさんに中を覗き込まれた時にゾッとしたのをよく覚えています。

 もしあの日が夏で、車の中に強い日差しが入ってきていたら、さらに辛かったでしょう。そして車の中には暇をつぶせるものは何もなく、ただただシーンとした車の中で時が過ぎるのを待つばかり。

 途中で耐えきれなくなり、父が戻ってきた頃には私はワアワア泣いていました。そんな私に父は詫びることなく「なんだちょっと待ってるだけで泣いたりして」と叱っただけで、自分がひどいことをしているという意識はまったくなかったのです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
国仲涼子が『ちゅらさん』出演当時の思い出を振り返る
国仲涼子が語る“田中好子さんの思い出”と“相撲への愛” 『ちゅらさん』母娘の絆から始まった相撲部屋通い「体があたる時の音がたまらない」
週刊ポスト
「運転免許証偽造」を謳う中国系業者たちの実態とは
《料金は1枚1万円で即発送可能》中国人観光客向け「運転免許証偽造」を謳う中国系業者に接触、本物との違いが判別できない精巧な仕上がり レンタカー業者も「見破るのは困難」
週刊ポスト
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン
逮捕された鈴木沙月容疑者
「もうげんかい、ごめんね弱くて」生後3か月の娘を浴槽内でメッタ刺し…“車椅子インフルエンサー”(28)犯行自白2時間前のインスタ投稿「もうSNSは続けることはないかな」
NEWSポストセブン