プロ野球でも辛口評論家が姿を消した。
「野村克也さん、豊田泰光さん、西本幸雄さんのように、選手や球団に苦言を呈する評論家が亡くなられ“世代交代”とともに解説口調に変化がみられます。代わりに目立つのは、江川卓氏や掛布雅之氏、そして赤星憲広氏や新井貴浩氏らもそうですが、選手を『○○君』『○○選手』と呼ぶ。
特に桑田真澄氏は、一緒に並ぶ解説者も君付けで呼ぶほどの配慮の塊。彼らは自分の経験は話すけど、選手の批判は口にしません。歯に衣着せぬ物言いで人気のエモやんこと江本孟紀氏や谷沢健一氏、高木豊氏などのベテラン勢は健在ですが、勢力図は変わっています」(別のスポーツ紙デスク)
体育会系とは程遠い現状には、「野球評論家の氷河期」が関係しているという。
「地上波の野球中継が激減し、解説の専属契約の枠も狭まりました。現役の選手や監督から嫌われると情報も入らなくなり、仕事も影響を受ける。そうして辛口の解説は激減し、現役時代の成績に関係なく番組に配慮できる野球評論家が生き残るようになりました」(同前)
※週刊ポスト2020年10月9日号