「なぜだろう?」「どうしてそうなるんだろう?」と疑問を持つことは、思考力を鍛える最良の“脳トレ”だ。そこで、誰もがふと考えたことがあるかもしれない、日々の生活に転がる素朴な疑問をについて、専門家に聞いてみた。
【疑問1】風や大雨の予報で気になる「降水確率」。「降水確率20%」「降水確率30%」の根拠は?
【答え】過去の“その日”の統計から、雨が降る確率を算出
「降水確率とは、ある特定の地域の特定の時間帯の間に1mm以上雨が降る確率をいいます。たとえば、ある地域の10月8日朝6時〜12時の降水確率を出す場合、過去のデータ等を活用し、同様の気象条件100回のうち20回雨が降ると見込まれれば、予想降水確率は20%になります(降水確率0%は5%未満を指すため、統計的には全く雨が降らないわけではない)。
よく、降水確率80%と聞くと大雨なんじゃないかと思われる人も多いのですが、降水確率と雨量は関係ありません。“1mm以上の雨”といった場合の降雨量の目安は、多くの人が傘をささないとしっかり濡れてしまう量です。
かつて天気予報は“当たらないものの代名詞”といわれた時代もありましたが、 1977年に気象衛星の運用が始まり、さまざまな技術の進化とともに、天気予報は年々精度が高くなっています」(気象庁天気相談所所長・立原秀一さん)
【疑問2】『鬼滅の刃』で人間の敵となる「鬼」。昔は実在した? ホントに“悪”?
【答え】「神」と「鬼」は表裏一体。善にも悪にもなる畏敬すべき存在
「鬼はもともと視覚的に姿を現さないものとして捉えられ、『日本書紀』にもその記載があります。現在の私たちが想像する『角があって虎柄のパンツをはいている』鬼が現れるのは平安時代以降、『鬼門』の考え方が広まってからです。
鬼の定義は大きく4つ。
【1】祭神:人に富をもたらす祖霊として、青森県弘前市の『鬼神社』など全国に鬼を祀った神社が残っています。
【2】妖怪:京都府大江山の酒呑童子など、得体の知れないもの。
【3】仏教上の鬼:閻魔王の配下として地獄で亡者を責める役割。
【4】祭りの鬼:男鹿のナマハゲなどは、大晦日に現れて悪霊を退ける鬼ですが、吉田神社(京都府)の節分祭に登場するのは、厄をもたらすとされて追い払われる鬼です。
先人は、天変地異や疫病など人間の力ではどうにもならない恐ろしい出来事などに直面した際、それを『鬼』に託して理解しようとしてきました。それは時に私たちに恵みを与える場合もあれば、災いを与える場合もあり、実は『神』と『鬼』は表裏一体で、いつでも反転しうる存在ともいえます。
現代の“鬼”は悪者のイメージが定着していますが、実は、人がよい行いをすれば守ってくれる頼もしい存在でもあるのです」(日本の鬼の交流博物館・安達香織さん)