辞任会見で揚塩社長は、「フィールド外(の問題)についてはフロントトップである私の責任です。監督には責任はないとオーナーに伝えた」と語り、矢野燿大・監督の去就には発展しないことを強調した。
が、そんな“親心”は台無しになる。10月12日発行の夕刊フジが、広島遠征中に矢野監督が選手らを飲食店に連れ出してミーティングをしていたことをスッパ抜いたのだ。同紙は角CEOを再直撃し、「ルール違反は問題。内部調査をしてもらわないと不公平になる」とのコメントを掲載した。
一方、10月13日付けの在阪スポーツ各紙は阪神タイガースの藤原祟起オーナー(阪神電鉄元会長)を直撃し、「矢野監督続投」のコメントを引き出した。矢野監督の責任を巡り、阪急出身者と阪神出身者がマスコミを介して激しく綱引きしている。
タイガースを長年取材してきた元デイリースポーツ編集局長の平井隆司氏が語る。
「阪急阪神HDのトップがスポーツ紙の一面でタイガースについて言及するのは初めてのこと。これでいよいよ阪急がタイガースに関与してくるのかな……という空気を感じます。阪急出身者がオーナーや球団社長に就任する可能性も出てくるかもしれない」
阪急サイドが本格的にフロントや人事に関わってくるとすれば、どんな事態が予想されるのだろうか。虎番記者はこんな見方をする。
「規律を守らなかった選手への“懲罰トレード”は大いにあり得るでしょう。3月に部外者を含む複数の関係者と会食して感染した藤浪、伊藤隼太、長坂拳弥は、それ以前から活躍が物足りなかったこともあり、放出される可能性が高まっている。9月の集団感染グループに含まれる若手の糸原や木浪聖也は“免罪”されそうだが、彼らを引き連れていった球界最年長の福留孝介が引退に追い込まれるかもしれない」
対象は選手だけではない。
「矢野監督は3年契約の2年目ですが、監督に抜擢した揚塩球団社長の辞任で後ろ盾を失い、かなり立場が危うくなった。阪急OBの山田久志氏や福本豊氏などが監督、ヘッドコーチ、あるいはGMの候補として名前が挙がりそうです」(同前)
親会社の経営統合劇と同じく、阪急が阪神を呑み込む展開となるのだろうか。