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都道県魅力度ランキング 最下位脱出・茨城県民の反応に学ぶ

有識者案を却下した大井川和彦・茨城県知事(時事通信フォト)

大井川和彦・茨城県知事(時事通信フォト)

 格差、序列、生きていく上で避けられないものである。悪い時は誰にでもあるものだし、そういう時にどう振る舞うかで評価が決まることもある。大人力について日々研究するコラムニスト・石原壮一郎氏が考察した。

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 どの都道府県にも、それぞれ独自の個性や魅力があります。出身者や住んでいる人にとっては「おらが都道府県がナンバーワン」なのは言わずもがな。それは大前提として、毎年この時期に話題になるのが、民間調査会社のブランド総合研究所が調査を行なっている「都道府県魅力度ランキング」です。

 47都道府県と国内1000の市区町村を対象に、認知度や魅力度など84の項目について尋ねるもの。10月14日に最新版の「都道府県魅力度ランキング2020」(調査期間2020年6月24日~7月20日、全国の消費者3万1734人が回答)が発表されました。上位は、1位が12年連続トップの北海道、2位が京都、3位が沖縄(去年の4位からひとつアップ)、4位が東京(去年の3位からひとつダウン)、5位が神奈川でした。

 きらびやかな天上界はさておき、今年もっとも注目を集めたのは、最下位の常連である茨城県が、一気に42位まで順位を上げたこと。去年まで7年連続という堂々たる最下位っぷり、それ以前も最下位がほぼ指定席でした。しかし、何事もとことん極めれば、独特な輝きや貫禄が浮かび上がってきます。

 私たちも、いつどんな状況でビリになるかわかりません。茨城県からビリとしての、そしてビリを脱したときの振る舞い方を学びましょう。

 7年連続ビリを達成した去年の結果発表の際、大井川和彦茨城県知事は「県のイメージを著しく損なっている」と激怒し、さらに「この調査がどのような方法で行なわれているのか精査し、適切な対応を考えたい」とコメントしました。率直に言って、怒ってしまった上、調査方法に疑問を示したのは、いささか大人げない対応です。

 しかし、個人的なビリなら鷹揚な態度を取るのが大人な振る舞いですが、県の代表者としてはヘラヘラしてたら県民に面目が立ちません。あえて怒って見せることで、県民の不満や悔しさのガス抜きをはかったとも考えられます(ま、素で怒っていた可能性もありますけど)。今ひとつはっきりしない基準で自分が率いるグループがビリになった場合は、怒って見せたり基準に文句を言ったりするのがリーダーの役割と言えるでしょう。

 茨城県が素晴らしかったのは、ようやくビリを抜け出した今年の反応。大井川茨城県知事は、新しくビリになった栃木県に対して「気持ちはわかる。あまり気にせず一喜一憂しないでほしい」と余裕のエールを送っています。去年は激怒していた人のセリフとは思えません。悔しさに寄り添っているところに大人の深いやさしさが漂っているし、同時にビリから抜け出した喜びを念入りに噛みしめようという大人の貪欲さを感じます。

 知事のコメント以上に感動的だったのが、茨城県民の反応。毎日新聞の報道によると、ビリ脱出を惜しむ声が相次いだとか。44歳の男性会社員は「茨城は最下位で有名になっていた。42位は中途半端。47位の方がよかった」と残念がり、16歳の女子生徒は「茨城イコール最下位の印象がある。(順位の上昇は)びっくりした」と驚いています。

 とくにうならされたのが、20歳の男子大学生のコメント。「日光や那須など有名観光地が多い栃木より上位なのが不思議」と、謙虚なスタンスで自分の県が打ち負かした相手を持ち上げ、さらに「順位の上昇で、最下位という『魅力』がなくなる」と嘆いています。

 どのコメントにせよ、長年ビリを守ってきた県の県民じゃないとこうは言えません。しかも結果的に、茨城県民の謙虚さや栃木県に対する配慮が感じられます。自分がビリを続けていて何かの拍子に抜け出せたときは、これらを参考に「ビリのほうがよかった」「なぜ勝てたのかわからない」などとコメントすれば、ビリとしての貫禄を示せるでしょう。

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