愛知県に住む会社員の女性(34才)は、10代の頃からリストカットを繰り返し、「死にたくなるのって、普通のことじゃないんですか?」と、医師に話した。
貧困やいじめといった、誰から見ても「さぞつらいだろうに」と思われるような、わかりやすく明確な「痛み」がなくても、「なんとなく死にたい」という人もいる。しかし当然ながら、その根底には、本人さえも気づいていない問題がある。社会学者で大学院大学至善館教授の橋爪大三郎さんはいう。
「社会や家族、職場やクラスでの関係になんらかの障害を感じていて、“自分の居場所はない”“評価されていない”“愛されていない”といった漠然とした苦痛があるはずです。
そうした人たちは、“いまの状況は自分に問題がある。自分が悪いのだ”と思ってしまう。職場で評価されなかったり、親から愛されないことよりもつらいことはたくさんありますし、そもそも、評価しない、愛さない方が悪いのかもしれない。なのに、気づかないうちに長い間苦痛にさいなまれることで視野が狭まり、自分を責めるようになっていくのです」(橋爪さん)
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※女性セブン2020年10月29日号