地域密着という点では、レジ袋戦略も興味深い。7月1日からコンビニを含めた全小売業でレジ袋の有料化が義務付けられた。プラスチックごみなどを削減するためだ。
コンビニ大手3社は足並みをそろえてレジ袋の有料化に踏み切ったが、セコマグループの小売店1224店は7月1日以降もレジ袋の無料提供を続けているため、北海道では有料と無料のコンビニが混在している。
セコマグループではレジ袋をバイオマス素材30%配合のものに切り替え、無料の方針を貫いている。当初は有料化する方針だったが、「コロナ禍で景気が冷え込なかで、消費者の負担を増やすことは避けるべきだ」(丸谷智保会長)と判断し、有料にすることを延期したという。大手コンビニはセコマと競合する地域で、レジ袋の無料配布が客足にどう影響するかに神経を尖らせている。
こんなこともあった。10月13日、丸谷会長が都内で講演した。中小企業基盤整備機構の「中小企業の事業継続力を強化するためのシンポジウム」である。
2018年に発生した地震で北海道全域が停電した際、ほとんどのセコマ店舗が営業を続けられたのは、自動車から給電できるようにする非常用電源キットなどを大きな投資をせずに備えていたからだという。「災害時に店舗の従業員に多くの対応を求めるのは難しいが、最低限必要な準備をしておけば営業は続けられる」と、丸谷会長は生きた体験を語った。
シンポジウムでは、店内で炊いたコメで温かいおにぎりを提供し、来店客から喜ばれたエピソードもあわせて紹介。「セコマの従業員には地域を支援するという使命感があった」と振り返り、「(従業員に)企業ではなく地域に対する忠誠心を根付かせることが、より重要だ」と結んだ。
セコマの戦略がコロナ時代に一層輝きを増している。