ビジネス

コロナ禍の「勝ち組企業」はなぜ北海道発祥ばかりなのか

コロナ禍でも過去最高益になった家具のニトリ(札幌本社/時事通信フォト)

コロナ禍でも過去最高益になった家具のニトリ(札幌本社/時事通信フォト)

 長引くコロナ禍で多くの企業が業績悪化に苦しむ中、逆境を物ともせず“勝ち組”になっている企業を見てみると、ひとつの共通点が浮かび上がってくる。北海道発祥の企業ばかりなのだ。いったい強さの秘密は何なのか。ジャーナリストの有森隆氏が分析する。

 * * *
1990年代後半、「北海道現象」という言葉がメディアを賑わした。明治時代から地元経済を支えてきた北海道拓殖銀行が経営破綻したことに端を発する現象だ。「拓銀さんが潰れることは絶対にない」──。こう信じていた多くの北海道の経済人には衝撃的な出来事だった。

拓銀破綻が地元企業に与えたダメージ

 都市銀行で最初に経営破綻した拓銀について、簡単におさらいしておこう。

 1997年11月16日、日曜日の夕刻だった。東京・千代田区の皇居に近いパレスホテル(旧パレスホテル)の一室で拓銀最後の臨時取締役会が粛々と始まった。

 経営破綻した拓銀は翌17日、午前8時20分に北海道内の第二地銀、北洋銀行に事業譲渡すると発表。小(北洋銀行)が大(拓銀)を背負い込むことになった。すでに中(北海道銀行)との婚約(合併合意)は破談になっていた。預金量6兆円、公表不良債権9350億円。わが国の金融史上で最悪の経営破綻だった。

最後の営業を終え、シャッターを閉める北海道拓殖銀行本店(1998年11月/時事通信フォト)

最後の営業を終え、シャッターを閉める北海道拓殖銀行本店(1998年11月/時事通信フォト)

 なにしろ道内の企業の7割のメインバンクが拓銀で地場大手は100%拓銀が主力だったため、銀行経営の行き詰まりは地元経済に大きな打撃を与えることになった。

 明治5(1872)年創業の名門中の名門百貨店、丸井今井の経営も直撃した。拓銀の受け皿となった北洋銀行の武井正直頭取(日銀OB)と丸井今井の今井春雄社長は犬猿の仲として知られ、名門意識がやたらと強い晴雄氏が第二地銀の北洋銀行を門前払いにしたことが遺恨になったといわれている。

 2008年12月末時点で5億5000万円強の債務超過に陥っていた丸井今井は、2009年1月29日、札幌地裁に民事再生法を申請し、力尽きた。負債総額は502億円。消費低迷に大丸の北海道進出も追い打ちをかけた。

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン