スポーツ

「世界の王」の本塁打記録55本に挑んだ「3人の助っ人」の涙

史上最強助っ人の称号はバースで異論なし

 今年のプロ野球は、ペナントレースがほぼ決着し、タイトル争いに注目が移っている。打撃3部門のなかでも熾烈な戦いを繰り広げているのがプロ野球の華といわれる本塁打王だ。今年は、セ・リーグは阪神・大山悠輔と巨人・岡本和真がデッドヒートを演じ、ヤクルト・村上宗隆、広島・鈴木誠也が追い上げている。パ・リーグは楽天・浅村栄斗、日本ハム・中田翔、ソフトバンク・柳田悠岐が三つ巴の争いで最後まで目が離せない。

『週刊ポスト』は10月26日発売号で、「醜きタイトル争い」の歴史を特集しているが、そこで紹介しきれない球史がまだまだある。

 日本プロ野球史において燦然と輝く本塁打王といえば、本塁打の世界記録を称え初の国民栄誉賞を受賞した王貞治だ。その世界記録である通算868本塁打、7試合連続本塁打と並び、シーズン55本塁打という記録は、長く破られることがない高い壁となっていた。2013年にヤクルトのバレンティンが60本塁打を記録するまで49年間も守られた「55本」だが、その間、3人の助っ人外国人が目前まで迫っていた。

【1985年 ランディ・バース(阪神)】
 この年のバースは三冠王を獲得し、チームは21年ぶりのリーグ優勝を決めて(その後、日本一)、まさにお祭り騒ぎの年だった。バースは54本の本塁打を放って、王監督率いる巨人と2試合を残していた。

 甲子園での129試合目、巨人先発の江川卓は「真っ向勝負した」とされている。第3打席まで、レフト前ヒット、四球、ファールフライで、第4打席はリリーフの橋本敬司が敬遠している。ただし、当時の担当記者は、「確かに江川は勝負したといってもいいが、実はストライクは2、3球しか投げていない。絶対にホームランを打たれない逃げの投球だったことは間違いない」と証言する。

 後楽園に場所を移した最終戦ではバースは5打席連続で敬遠され、王の「55本」は守られた。ただし、この試合でバースは3打席目に斎藤雅樹が中途半端に外した投球を強振し、センター前ヒットを記録している。「打ちたかった」という気持ちが察せられるエピソードだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
フレルスフ大統領夫妻との歓迎式典に出席するため、スフバートル広場に到着された両陛下。民族衣装を着た子供たちから渡された花束を、笑顔で受け取られた(8日)
《戦後80年慰霊の旅》天皇皇后両陛下、7泊8日でモンゴルへ “こんどこそふたりで”…そんな願いが実を結ぶ 歓迎式典では元横綱が揃い踏み
女性セブン
犯行の理由は「〈あいつウザい〉などのメッセージに腹を立てたから」だという
「凛みたいな女はいない。可愛くて仕方ないんだ…」事件3週間前に“両手ナイフ男”が吐露した被害者・伊藤凛さん(26)への“異常な執着心”《ガールズバー店員2人刺殺》
NEWSポストセブン