トランプ大統領一族の内幕を描いた本の著者で、大統領の姪のメアリー・L.トランプ氏(Avary L. Trump)
〈私はドナルドの残酷さと無能さが人々の命を奪うことになるに違いないと確信して絶望的な気持ちになった。私が当時想像していたのは、たとえばドナルドが本来回避できる戦争に巻き込まれたり、あるいはその方向に挑発してしまったりすることによって、悲惨な状況がもたらされるといったことだった。そして、こんなにも多くの人たちがドナルドの最悪の本能を喜んで発揮させてあげることになるなど、まったく予想できなかった。
その結果、政府は平気で(不法移民の)親子を引き離し、国境で難民を足止めさせ、同盟国を裏切り、ほかにもさまざまな非人道的行為が行われた。さらに、世界規模で新型コロナウイルスの感染症が広がり、ドナルドの他人の命に対するおぞましいほどの無関心さが露呈することになるなど、私は予見できなかった。〉
〈今回の(新型コロナウイルスの)災禍では、十数万という人の命が失われ、歴史上最も裕福な国の経済が破綻する恐れまである。だが、ドナルドはこのいずれの事実も直視せず、証拠を隠すためにゴールポストを移動させ、その過程できっと、死者が二〇〇万人でなく十数万人だけなのだから、自分は誰よりも優れた仕事をしたのだと自分を納得させるだろう。〉
メアリー氏が警鐘を鳴らすように、アメリカ、そして世界は荒廃してしまうのか。
※『世界で最も危険な男』(メアリー・トランプ著)より抜粋、構成