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Amazonやらせレビュー問題 SNS経由「500円で募集」が常態化

ネットでの買いではユーザーレビューの影響を受けやすい(イメージ)

ネットでの買いではユーザーレビューの影響を受けやすい(イメージ)

 そのような小細工が通用するのは、中小の販売業者や個人業者だけではない。世界的な企業ですら、Amazonで販売する商品への不当なカスタマーレビュー操作に悩まされている。

 モバイルバッテリーやスピーカーなどを開発販売するアンカー・ジャパンも、不正レビュー被害にあっている。新発売だった会議用Bluetoothスピーカーフォン「Anker PowerConf」に対し、2020年3月27、28日の2日間に通常の20倍以上の星1つというレビューが投稿された。4月上旬にもこの事態は続いた。新型コロナウイルスの感染拡大により、リモートワーク用の機器への需要が高まっていたタイミングでの不自然な低評価連発は、作為的なものだとしか考えられなかった。アンカー・ジャパンはこれをカスタマーレビューの不正操作として糾弾、Amazonが削除している。

 不正レビューを発見したのなら、削除申請をすれば済むと考えるかもしれないが、現実には簡単なことではない。誹謗中傷やプライバシー侵害、対価を受けた不正レビュー、競合他社による投稿などがコミュニティガイドライン違反に該当し、削除申請をすることができるが、巧妙な文面で構成されていて違反を証明できないこともある。そのような場合は、名誉毀損などの違法性を主張して削除を求めていく必要があり、すぐに削除などに応じてもらえるとは限らない。

Facebookページの募集に応募殺到

 あるメーカーの社長は、Amazonに自社商品の不正レビューを投稿されたために、数百万円単位の損失が生じたという。「製品が火を吹いて怪我をするところだった。賠償してほしい」というレビューが投稿され、商品の安全性が確認できるまでとしてAmazonでの販売が停止されてしまった。ところが、レビュー主から返品された商品は未開封、未使用であり、製品を確認したが問題なかった。その後、返品してきたユーザーに連絡をしたが返事もなく、警察に相談しているという。

 通信販売サイトでは、レビューは大事な存在だ。質の高いレビューを確保するために、任意でしかないレビューを定期的に投稿してくれる人、他のユーザーの参考になる投稿数が多い人を「ベストレビュアー」や「トップレビュアー」としてピックアップし、購買の参考になるレビュアーとして紹介している。だが、そのトップレビュアーを運営が称揚する仕組みすら、悪用する人たちが存在する。

 英国の経済紙フィナンシャル・タイムズの調査によると、英国のトップレビュアーには、高評価をつけることで報酬を得ている者がいるという。あるレビュアーは平均4時間ごとにレビューを投稿し、その後、その商品を北米や欧州で根強い人気のグローバルECサイトeBayで販売。自己演出して商売繁盛の形を作り出していたとしか考えられないタイミングでレビュー投稿、販売を繰り返していた。

 同紙の調査ではほかに、英国のAmazonでトップ10に入るレビュアーのうち9人が、中国のあまり知名度の高くないブランドの商品に対して5つ星の高評価をつけていたことも判明している。そしてFacebookのグループなどで、その商品の評価をすれば商品または報奨金を提供する旨の投稿が見つかった。その後、Amazonは7人のレビュアーが投稿した約2万件のレビューを削除している。

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