鈴木京香と共演している中井貴一
このドラマを見ていて思い出したのは、かつて業界ドラマを得意としていたのは、フジテレビだったということだ。その元祖ともいえるのが、1974年の『6羽のかもめ』というドラマ。古い話と言われそうだが、新人タレントが経歴を詐称したり、故意にスキャンダルを起こして注目を集めたり、ベテラン女優と新人が反目したりと、今も「あるある」と思えることがたくさん出て、業界内視聴率は相当高いとウワサされた。(原案は『北の国から』『やすらぎの郷』などで知られる倉本聰)。当時のフジテレビは他局に後れを取り、往年の名番組『カノッサの屈辱』の分析によると、「振りむけば12チャンネル」と言われていたという。
12チャンネルとはもちろん、現在のテレビ東京のことである。その後、80年代に勢いをつけたフジテレビは、グループ関連企業も巻き込んで『アナウンサーぷっつん物語』、『男が泣かない夜はない』、『ラジオびんびん物語』、『ギョーカイ君が行く!』、『荒野のテレビマン』など、短期間に業界ドラマを次々打ち出した。
昨年、民間放送連盟賞テレビ部門グランプリを獲得した北海道テレビ放送の『チャンネルはそのまま』もローカルテレビ局を舞台に、ライバル局との熾烈な戦いやキー局との関係もリアルに描いて人気を得た。業界ドラマに注目が集まる中、フジテレビは黙っているのか。気になってきた。