そしてこの演者のフォーメーションには、昭和や平成の香りがする。思い返せば『ふぞろいの林檎たち』(TBS系・1983年)や、『愛という名のもとに』(1992年)、『ひとつ屋根の下』(1993年・ともにフジテレビ系)も同じように、放送当時は無名の“バイプレイヤー”たちが主要キャストの脇を支えていた。今のドラマよりも、メインとバイプレイヤーの境界線がくっきりとしていた記憶がある。

 そんな昔のキャスティングの風味を踏まえているのだろうか? 『恋母』の主題歌は松任谷由実さんが担当している。タイトルは「知らないどうし」。この流れ方も特徴的で、エンディングで物語の展開も気にすることなく、間髪入れずにダダン! とユーミンの歌声が聞こえる。彼女が担当したドラマ主題歌といえば『誰にも言えない』(TBS系・1993年)の「真夏の夜の夢」。これはいい平成の香りが漂ってくると、しみじみしてしまった。

 新しい不倫妻スタイルを提示しながら、どこかに団塊ジュニアたちが喜ぶ要素を落とす。そんなハニートラップにかかったような『恋母』は、今夜22時に第5話が放送予定だ。6人の恋がまた進む。

【プロフィール】こばやし・ひさの/静岡県浜松市出身のエッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター。これまでに企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊以上。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。

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