【6】一人一人登場人物を大切に回収

 母光子(薬師丸ひろ子)が亡くなっていることをさりげなく描き遺品のロザリオに語りかけたり、藤堂先生(森山直太朗)のお墓にお参りしたり。小山田先生(志村けん)が亡くなる直前に裕一に宛てた手紙が届けられたり。一人一人をおざなりにせずきちんと回収していくことでドラマの登場人物への愛を感じさせてくれました。

【7】声優の力を見せつけた

 音楽をテーマとしたドラマだけに「音」の使い方も優れていました。特にナレーションを担当した声優・津田健次郎の技術、また吹き替えだけで1人4役を演じたシーンも話題を呼び、まさしく音の力を印象付けました。

【8】オープニングも最終回も自由奔放

 初回のプロローグは朝ドラ史上初の紀元前1万年から始まり夫婦が原始人として登場。一方、戦場シーンの数日間は主題歌なしのオープニング、そして最終回のカーテンコールまで。朝ドラの枠を飛び超えていく型破りな演出が新鮮な驚きをもたらしました。

【9】コロナ禍の「今」にきっちりシンクロ

 コロナ禍で来年のオリンピック開催も不安視される状況下、ドラマでやたら「五輪万歳」と持ち上げられるのには抵抗がある──そうした世の中の空気を読んでのコンパクトな表現が冴えていた。裕一の元に東京オリンピックの開会式の入場行進曲を作曲してほしい、という依頼が舞い込んでから、1964年の東京オリンピック開催という大イベントまでを短い時間内に描き上げまとめた。何より、今の状況と視聴者の気持ちに併走していく現在進行形のドラマ作りにマル。

【10】監督が脚本も手がけたゆえの一貫性

「視聴者の方々にエールを送り、『自分も頑張ろう!』と元気を出してほしい」という吉田監督の思いが特に後半、脚本と一体となって結晶化していた。偶然ではあっても脚本と演出が一人の人の手になったことで、最終的にブレのない着地ができたのでしょう。コロナの時代と共に記憶に刻まれる朝ドラ作品になったと思います。

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