芸能

桃月庵白酒 独自に考案した『居残り佐平次』『死神』のサゲ

有名な『居残り佐平次』『死神』の噺を独自にアレンジした桃月庵白酒(イラスト/三遊亭兼好)

有名な『居残り佐平次』『死神』の噺を独自にアレンジした桃月庵白酒(イラスト/三遊亭兼好)

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接してきた。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、従来のサゲに満足できず独自に考案する桃月庵白酒の『居残り佐平次』『死神』についてお届けする。

 * * *
 落語は「落とし噺」である以上、サゲ(オチ)がピタッと決まらないと気持ち悪い。なので従来のサゲに満足できず、独自に考案する演者もいる。桃月庵白酒もその一人だ。

 10月13日の白酒独演会「お座敷白酒」(国立演芸場)では『居残り佐平次』を聴いた。従来のサゲに出てくる「おこわにかけられた」の意味がわからないと圓生も言っていた演目で、談志や小三治、近年では柳家喜多八も新たなサゲを考案した。

 白酒の『居残り佐平次』は、大金をせしめた佐平次が追ってきた若い衆に「この金で蕎麦屋でもやるよ」と捨て台詞を吐き、それを伝え聞いた旦那が「蕎麦屋? 一杯食わせやがった」がサゲ。ストレートでわかりやすい秀逸な演出だ。

 ちなみにこの噺、通常は旦那に呼び出された佐平次が「ガキの折から手癖が悪く、抜け参りからグレ出して」と白浪五人男を気取るが、白酒は「小さな頃から悪ガキで、15で不良と呼ばれ、ナイフみたいに尖ってた」。こっちのほうが圧倒的に「どっかで聞いた」感がある。

 10月16日の「J亭スピンオフ 桃月庵白酒・柳家三三 二人会」(日経ホール)では白酒の『死神』を聴いた。『死神』は圓生の「消えた」と言って倒れ込む“見立てオチ”に欠陥はないが、噺そのものに演者の創作欲をそそるものがあるようで、談志や小三治を筆頭に多くの演者が異なるサゲを考案している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2023年ドラフト1位で広島に入団した常廣羽也斗(時事通信)
《1単位とれずに痛恨の再留年》広島カープ・常廣羽也斗投手、現在も青山学院大学に在学中…球団も事実認める「本人にとっては重要なキャリア」とコメント
NEWSポストセブン
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《早穂夫人は広島への想いを投稿》前田健太投手、マイナー移籍にともない妻が現地視察「なかなか来ない場所なので」…夫婦がSNSで匂わせた「古巣への想い」
NEWSポストセブン
芸能生活20周年を迎えたタレントの鈴木あきえさん
《チア時代に甲子園アルプス席で母校を応援》鈴木あきえ、芸能生活21年で“1度だけ引退を考えた過去”「グラビア撮影のたびに水着の面積がちっちゃくなって…」
NEWSポストセブン
釜本邦茂さん
【追悼】釜本邦茂さんが語っていた“母への感謝” 「陸上の五輪候補選手だった母がサッカーを続けさせてくれた」
週刊ポスト
有田哲平がMCを務める『世界で一番怖い答え』(番組公式HPより)
《昭和には“夏の風物詩”》令和の今、テレビで“怖い話”が再燃する背景 ネットの怪談ブームが追い風か 
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンにウジ虫混入騒動》体重減少、誹謗中傷、害虫対策の徹底…誠実な店主が吐露する営業再開までの苦難の40日間「『頑張ってね』という言葉すら怖く感じた」
NEWSポストセブン
広島・広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
【「便器なめろ」の暴言も】広陵「暴力問題」で被害生徒の父が初告白「求めるのは中井監督と堀校長の謝罪、再発防止策」 監督の「対外試合がなくなってもいいんか?」発言を否定しない学校側報告書の存在も 広陵は「そうしたやりとりはなかった」と回答
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《過激すぎる》イギリス公共放送が制作した金髪美女インフルエンサー(26)の密着番組、スポンサーが異例の抗議「自社製品と関連づけられたくない」 
NEWSポストセブン
1990年代、多くの人気バラエティ番組で活躍していたタレント・大東めぐみさん
《交通事故で骨折と顔の左側の歯が挫滅》重傷負ったタレントの大東めぐみ「レギュラーやCM失い仕事ほぼゼロに」後遺症で15年間運転できず
NEWSポストセブン
1990年代、多くの人気バラエティ番組で活躍していたタレント・大東めぐみさん
《事務所が猛反対もプロ野球選手と電撃結婚》元バラドルの大東めぐみ、人気絶頂で東京から大阪へ移住した理由「『最近はテレビに出ないね』とよく言われるのですが…全然平気」
NEWSポストセブン
悠仁さまに関心を寄せるのは日本人だけではない(時事通信フォト)
〈悠仁親王の直接の先輩が質問に何でも答えます!〉中国SNSに現れた“筑波大の先輩”名乗る中国人留学生が「投稿全削除」のワケ《中国で炎上》
週刊ポスト
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《借金で10年間消息不明の息子も》ビッグダディが明かす“4男5女と三つ子”の子供たちの現在「メイドカフェ店員」「コンビニ店長」「3児の母」番組終了から12年
NEWSポストセブン