ビジネス

コロナ第3波と住宅ローン 「終の棲家」重荷になる人が続出

念願のマイホームを手に入れたのに……(イメージ)

念願のマイホームを手に入れたのに……(イメージ)

「食う寝るところに住むところ」といえば、落語『寿限無』も使われる人間の幸せな生活に必要なもののひとつ。何十年もかけて返済する住宅ローンを組んででも、住むところを確保したいものなのだろう。新型コロナウイルスの感染拡大が報じられ始めた春には、住宅ローンの返済猶予に金融機関も柔軟に対応するとあわせて知らされたものだ。それで一時的にしのぐことはできたようだが、夏までは持ちこたえていた人たちも「住むところ」を失いかねない状況へと追い込まれている。ライターの森鷹久氏が、終の棲家だと決意して手に入れた住宅に振り回される人たちについてレポートする。

 * * *
 全国で1日の感染者数が2000人を超え、いよいよコロナウイルス「第3波」が日本列島を襲っている。夏から秋にかけて収束に向かっているかとも思えていただけに、ショックを受けていると言う人も少なくないだろう。「3波」を受けて、大きな決断をせざるを得なくなっていると言う人も。

「夏のボーナスも5割カットで冬のボーナスはゼロ。住宅ローンが完全に払えなくなってしまいました」

 こう話すのは、首都圏の戸建て住宅に住む飲食店チェーン勤務・森山卓さん(仮名・30代)。自宅は数年前に3500万円ほどで購入し、月々のローンの支払いは約8万円。年2回のボーナス時には、追加で10万円強を支払っていたというが……。

「月30万円の給与がコロナで3分の2になったのが夏前。生活がカツカツだったところに、ボーナス払いでとどめが刺された感じですね。夏終わりに、ローンを払うために車も売りました。第3波が来たということで、家を売る準備も進めましたが、購入時より1000万円近く安い。行くも引くも地獄です」(森山さん)

 コロナウイルスによる影響により、住宅ローンの支払いが困難になった人々に向けて、金融庁は積極的に「相談」するよう呼びかけ、同時に金融機関には「猶予」などの配慮をするよう求めている。もちろん森山さんもそうした窓口へ電話をしたこともあった。ただそれらは「いずれ良くなる」ことが前提にあった。すでに金策が尽き、第3波で先行きも真っ暗、半年後に支払いを再開できるはずがないと思うと、もはや自宅を所有しておく、という判断ができなくなるのは、当たり前かもしれない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン