国際情報

大前研一氏が提言「国策として真剣に料理に取り組むべき」

日本の将来を支えるのは「料理」と提言する理由とは

日本の将来を支えるのは「料理」と提言する理由とは

 新型コロナウイルス第3波のために雲行きが怪しくなってはきたものの、政府は来年1月末までとしていた「Go Toトラベル」事業を2月以降も継続、5月のゴールデンウィークまで延長される公算が大きい。第二次補正予算に約1.7兆円の事業費を「Go Toキャンペーン」に計上し、足りなくなればさらに財源を確保するとしている。

 はたしてこれでよいのだろうか──。経営コンサルタントの大前研一氏はインバウンドがなくなった今こそ、国内旅行需要を本質的に喚起する「観光版・日本列島改造論」を実行すべきだ、と提言する。

 * * *
 今後の世界経済をリードするのはAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などと言われているが、それらの分野ではすでに日本はアメリカや中国などの後塵を拝している。ならば、日本の将来を何で支えるのか? 日本人が世界的なリーダーになれる可能性がある分野──それは「料理」ではないかと私は考えている。

 私自身、暇さえあればオートバイや車で国内各地を巡って食べ歩いているが、日本は全国あちこちに素晴らしい食材が山ほどある。

 ただ、残念なことに、地方にはその食材を生かし切れる腕の立つ料理人が非常に少ない。そういう料理人(=旨い店)は東京をはじめ京都、大阪、博多、金沢などに集中しており、それ以外の地域ではあまりお目にかからないのだ。実にもったいないことである。

 だから日本は、インバウンドの復活も視野に入れて、国策として「料理」にもっと真剣に取り組み、今後10年くらいかけて料理人の人材養成と料理のレベルアップや多様化に注力すべきだと思うのである。

 その具体策は「料理大学」の創設だ。日本の場合、料理の分野は専門学校しかないが、たとえば“美食の街”と呼ばれるスペインのサン・セバスチャンには、2011年に設立された料理専門の大学・大学院「バスク・カリナリー・センター」がある。私は昨年、同校を視察したが、世界中から集まった料理人志望者を相手に、世界の一流料理人が講師を務めるとともに、レストランの「経営」についても教えていた。

 また、アメリカのニューヨークには世界最大の料理大学「カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ」があり、約3000人の学生が料理に関する知識と技術を学んでいる。

 それらを参考に、日本も政府と各自治体が協力して、料理人を養成する大学・大学院を創設し、経営や顧客満足度などがわかり、かつ腕の立つシェフや板前を輩出するのだ。そうすれば全国的な料理のレベルが上がり、国民(とくに高齢者)はいっそう旅行に出かけるようになって地方でお金を落とす―という好循環が生まれると思うのである。

関連記事

トピックス

本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
2021年ドラ1右腕・森木大智
《悔しいし、情けないし…》高卒4年目で戦力外通告の元阪神ドラ1右腕 育成降格でかけられた「藤川球児監督からの言葉」とは
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
注目される次のキャリア(写真/共同通信社)
田久保真紀・伊東市長、次なるキャリアはまさかの「国政進出」か…メガソーラー反対の“広告塔”になる可能性
週刊ポスト
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
この笑顔はいつまで続くのか(左から吉村洋文氏、高市早苗・首相、藤田文武氏)
自民・維新連立の時限爆弾となる「橋下徹氏の鶴の一声」 高市首相とは過去に確執、維新党内では「橋下氏の影響下から独立すべき」との意見も
週刊ポスト
新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン