目・鼻・耳・口に要注意!知覚の異変が認知症につながる

目・鼻・耳・口に要注意!知覚の異変が認知症につながる

 一方、本人が気付きにくいのが緑内障だ。

「食事のときにお皿の決まった場所にあるおかずだけ残す、などの兆候があれば視界の一部が欠ける緑内障の恐れがあります。家族が異変に気付いたら、すぐに専門医にかかることをお勧めします」

 緑内障は血行促進による症状の改善も期待できるので、生活習慣も見直したい。

「異変を感じたらタバコを吸う人は控えたり、散歩で体を動かすことも予防につながります」(前出・平松氏)

【耳のサイン】会話が頭に入らない

 聴力と認知症の関係も解明が進んでいる。国立長寿医療研究センターの佐治直樹医師が解説する。

「耳が聞こえにくくなると周囲との会話などが減り、引きこもりがちになります。それによって認知症が悪化するケースがあります」

 聴覚は40代くらいから徐々に衰えはじめ、70代を迎えると約半数が難聴になるといわれる。

「高音が聞こえなくなったり、相手の会話が頭に入ってこなくなったら注意です。そうした場合は、早めに補聴器を使うことを検討したい。難聴の高齢者を追跡調査した結果、補聴器を使った人のほうが認知機能が低下しにくいと結論づけている研究報告もあります」(前出・佐治氏)

【口のサイン】奥歯が抜けたら……

「65歳以上で歯の数が20本以上の人と比べて歯がほとんどなく入れ歯を使っていない人は1.9倍認知症になりやすいとする研究があります」

 神奈川歯科大学の山本龍生教授が言う。

「人間の歯は28本ありますが、虫歯や歯周病で失われると歯ごたえのあるものを食べなくなる。咀嚼は脳への血流を促進しますが、特に奥歯を失うと咀嚼そのものが少なくなり脳への刺激が減ります。そのため、認知機能が衰えると考えられます」

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