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2020.12.07 11:00  女性セブン

ロンドン五輪金の小原日登美 吉田沙保里という壁との戦い

ロンドン五輪金の小原日登美

ロンドン五輪レスリング金メダリストの小原日登美

 世界選手権8度の金メダルに輝きながらも、なかなか五輪出場が果たせなかった小原(旧姓・坂本)日登美(39才)。大きな挫折やライバルたちの壁に阻まれ、何度かマットを降りた彼女が、再び五輪出場を目指し、2012年ロンドン五輪金メダルに輝くまでの奇跡の物語を追った。

「私がレスリングを始めたのは小学3年生のとき。3才下の弟が通っていた『八戸kidsレスリング教室』が楽しそうで始めました。

 ここの方針は勝ち負けよりも、レスリングを通して礼儀や人として大切なことを学んでほしいというもので、なかでも“あいうえおの5つの約束”を、毎回、練習の終わりにみんなで大きな声で言っていたのが忘れられない思い出です」(小原・以下同)

 その“あいうえおの5つの約束”とは、こんなものだ。

あ…あいさつは聞こえるようにハッキリと。
い…いじめとけんかはしません。
う…嘘は絶対につきません。
え…笑顔で頑張ります。
お…お父さんとお母さんのいうことは聞きます。

「これは人間形成の上で大事な教えなので、いまでも大切にしています」

 その後、4才下の妹・坂本真喜子選手(35才)も同教室に通い始める。中学卒業後は、八戸工業大学第一高校に進学。だがレスリング部がなかったため、学校に相談してレスリング愛好会を発足させ、練習に励む。

「女子は私だけだったので、男子と練習をしていましたが、どうしても体力的にはかないません。それでも必死で追いつこうと、早起きして、5kmの走り込みをしたり、近くの小学校の校庭の鉄棒で懸垂したり。でも、男子と練習をしていたおかげで、強くなるためにはどうすべきか、自分で考えられるようになりました」

 練習場所がなくても、練習相手がいなくても、あきらめず、自暴自棄にならずに工夫して進む強さが、道を開いたのだ。

 ひとりで地道に練習に励んでいた彼女に、ターニングポイントが訪れる。高校2年生のときに出場した全国高校生選手権の会場で、レスリングの強豪校として知られる中京女子大学(現・至学館大学)の監督の栄和人さん(当時)から声をかけられたのだ。

「栄監督から『うちの大学に来ないか』と言われたのですが、監督の情熱がすごくて、話を聞いているうちに『この人についていけば、世界チャンピオンになれるかもしれない』と思いました。進路も決まり、さらに練習に打ち込めるようになったからか、翌年の全国高校生選手権50kg級で優勝することができてうれしかったですね」

 高校卒業後は八戸を出て、栄監督のもとへ。1年目は栄監督が借りている寮で、同級生2人と先輩、後輩との共同生活をすることになった。

「栄監督の方針は勝つためには人生のすべてをレスリングに捧げるというもので、練習もできるまでとことん行うため、夕方5時から夜10時までかかったこともありました。休日に友達と遊びに出かけているときにも電話で呼び出され、戻って練習をしたことが何度もあります」

 それに監督は、寮で顔を合わせるとすぐにレスリングの話になるので、会わないようにしたりして(笑い)。朝から晩まで練習三昧のきつい日々でしたが、そのおかげで体力もつき、『絶対に勝つ!』という強い気持ちも持てるようになりました」

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