スポーツ

阪神JF 白毛のソダシよりサトノレイナスを軸にとる理由

阪神競馬場

舞台は阪神競馬場

 2歳牝馬の頂点を決める一戦。いずれもキャリアの浅い馬たちだけに、一変があって不思議はない。競馬ライターの東田和美氏が考察した。

 * *  *
 昨年の覇者レシステンシアは、前走で重賞ファンタジーSを6番人気で勝ち、2戦2勝でこのレースに臨んだ。単勝1.8倍の1番人気は2戦2勝のリアアメリア、4.5倍の2番人気はやはり2戦2勝のウーマンズハート、4.8倍の3番人気は1勝馬ながら前走サウジアラビアRCで2着のクラヴァシュドール。レシステンシアは11.2倍と少し離れた4番人気。つまり昨年の阪神ジュベナイルフィリーズ(JF)は「3強対決」の様相だった。

 レシステンシアは、この後チューリップ賞で3着に敗れながら、桜花賞、NHKマイルカップで1番人気に推されている。結果はともに2着だったが、桜花賞では着順も上記の「3強」を上回っているわけで、この世代の牝馬のトップであることに異論はないだろう。では同じような戦績でありながら、この時点で4番人気だったのはなぜか。

 もちろん走破タイムやレース内容、鞍上の実績や勝ちっぷりといった理由があるのだろうが、レシステンシアが牡馬と走った経験がなかった、というのも一因だろう。

 2005年のアルーリングボイス以降、阪神JFで1番人気に支持された15頭はすべて牡馬とのレースを経験、うち牡牝混合重賞6頭を含め14頭は勝っていた。昨年の「3強」も同様、クラヴァシュドールはサウジアラビアRC2着だったが、サリオスに最後まで食い下がった。「牡馬に勝った(戦った)」というのが評価されていたのは間違いないところ。

 しかし昨今の牡牝混合のGⅠを見ても、トップクラスでの牡馬>牝馬という図式は崩れている。牡馬が本当に強くなるのは3歳の夏を越えてから、この時期ではむしろ牝馬の成長の方が早いともいわれており、「牡馬に勝ったことがある」というのは、それほど大きな意味を持たないのではないか。

 シラユキヒメ一族の2頭、3戦3勝のソダシとメイケイエールは牡馬相手の2歳Sを含む重賞2勝。戦績としてはもちろん、タレント性も文句ない。とくに白毛のソダシが来春のクラシックの主役になれば、盛り上がることは確実。オッズにはそういった期待も込められていることは覚えておきたい。

 阪神3歳(当時)牝馬Sになった1991年以降の29回で1番人気馬は【10 2 4 13】。連対できなかった馬は17頭もいる。2番人気馬は【4 3 7 15】、3番人気馬は【2 7 3 17】、4番人気馬は【4 2 5 18】と、馬券圏内(3着以内)に入った数だけを見れば4番人気馬までにさほど大きな差はない。なお、2005年以降、1度でも4着以下に敗れた馬は1頭も勝っていない。2、3着馬で馬券対象から外れたのもわずかに4頭だけだ。

 2歳牝馬GⅠで重要なのは“完成度”ではなく“血統背景”、つまり持って生まれた資質が大きいといわれている。1995年の覇者ビワハイジの娘ブエナビスタは2008年にこのレースからGⅠその後の活躍を見ればなるほどと思うが、2011年、母や姉に続いてジョワドヴィーヴルがキャリア1戦で勝ったとき、血統の持つ底力に感動したものだ。トールポピーはダービーで1番人気に支持されたフサイチホウオーの全妹だし、ソウルスターリングはヴェルメイユ賞など欧米のGⅠを6勝したスタセリタの産駒だ。人気薄で連にからんだヤマカツリリー、ヤマニンアルシオンなどもGⅠ馬の娘だった。

 2歳牝馬チャンピオン決定レースだが、目標はあくまで来年春の桜花賞。ここでの結果が直結するわけでもない。今年の三冠馬デアリングタクトもまだ初勝利をあげたばかりで出走していなかった。とはいえ、昨年出走した16頭のうち6着まではそのまま桜の舞台に立っている。現時点での成績だけではなく、各馬の将来性を睨んだ馬券作戦が奏功しそうだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
2025年10月末、秋田県内のJR線路で寝ていた子グマ。この後、轢かれてペシャンコになってしまった(住民撮影)
《線路で子グマがスヤスヤ…数時間後にペシャンコに》県民が語る熊対策で自衛隊派遣の秋田の“実情”「『命がけでとったクリ』を売る女性も」
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
各地でクマの被害が相次いでいる(右は2023年に秋田県でクマに襲われた男性)
「夫は体の原型がわからなくなるまで食い荒らされていた」空腹のヒグマが喰った夫、赤ん坊、雇い人…「異常に膨らんだ熊の胃から発見された内容物」
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン