フリン元補佐官は有罪を認めていながら恩赦(EPA=時事)
一方、これも誰が提案したか報じられていないが、会議ではパウエル氏を特別検察官に任命して、大統領選挙の不正を捜査させるという案が浮上した。パウエル氏は投票機を押収するための大統領令を出すことを提案したが、これも出席者たちから反対されて却下されたという。パウエル氏は反対する人たちを「臆病者」と非難したとされる。
会議には、トランプの個人弁護士であるジュリアーニ元ニューヨーク市長も参加し、パウエル氏の奇抜すぎる提案に反対したようだが(トランプ弁護団からパウエル氏を排除したのもジュリアーニ氏だった)、それとは別に、彼自身も投票機を差し押さえるよう国土安全保障省に掛け合っている。こちらも同省から拒否されて手詰まりになっている。
あまりにも根拠のない主張で一時はトランプ弁護団から外されたパウエル氏(EPA=時事)
客観的に見れば、パウエル氏やフリン氏こそ、根拠のない捏造された陰謀論によって大統領選挙を疑惑まみれにしてしまった張本人だが、その2人を大統領執務室に呼び込んで、さらに騒動を煽ろうとしているトランプ氏の真意はどこにあるのか。別の報道では、トランプ氏は自分のスタッフたちが「パウエル氏のように戦うべき」だと訓令したとされる。
もういい加減にしてほしいというのが大半のアメリカ人の気持ちだが、トランプ氏にしてみれば、退任後も「2020年の大統領選挙は不正だった」と言い続けるためには、でっち上げでも憶測でも、“疑惑”は多いほどいいわけだ。それを信じるトランパーズ(熱狂的なトランプ支持者)は今もたくさんいる。アメリカがこれ以上、混迷を深めて国家運営が滞れば、喜ぶのはそれこそベネズエラや中国などの反米国家なのだが……。