夏頃、渋谷駅前などで「コロナは単なる風邪だ」という主張を掲げ「クラスターデモ」なる迷惑行為を展開していた集団の一部が、今なお、都内を中心に「活動」を行っているものと見られる。秋から冬にかけて、都内では渋谷だけでなく新宿や池袋、中目黒駅前などでも姿が確認されているが、その勢いは、ネットを介在して全国に広まりつつあるという。騒動を取材している全国紙社会部記者が解説する。
「SNSを介し、コロナウイルスなんか大したことがないという仮説に共鳴する人々が集まり、全国で『活動』をしています。北海道や福岡でも、小規模の『活動』が確認されており、それぞれの場所で大なり小なりトラブルになっている」(全国紙社会部記者)
この集団の代表者や関係者に取材を試みた新聞社、テレビ局もあったというが、あまりに荒唐無稽な主張を繰り返すだけでなく、記者の個人情報などが守られず危険が生じかねない、などの恐れもあったことから、各社はすでに取材を諦めているという。
都内にある飲食店の男性店主(60代)もつい先日、件の集団による活動の「被害」にあったと訴える。
「近くにコロナの検査センターができるという話があり、その近辺に『コロナは風邪だ』と叫ぶ男女が現れました。そこは運悪く、私の店の目の前。昼間の二時間ほど居座られ、その間、客は一人も入ってこなかった。文句を言おうものなら何をされるか、恐ろしくて何もできない。台風と一緒で、ただ過ぎ去るのを待つしかない」(男性店主)
コロナは風邪、という主張をしたければすれば良い、と個人的には思う。ただし、その主張をするために他者の様々な自由を奪っている、そしてそのことに気がついているにも関わらず押し通そうとしては、彼らの言いたいことの正当性を疑われても仕方が無い。それに、新型コロナウイルスに怯えている人々から見れば「テロ集団」と変わらないほど恐ろしいだろう。しかし、「表現の自由」を掲げられると、全体主義国家ではない我が国で、こうした行為を取り締まることは難しい。
全国各地に、民間の新型コロナウイルスの検査センターが続々オープンしているが、それぞれの場所にこうした集団が現れ、住民達とトラブルが起きるのではないか。検査センターを開設する団体や企業、近隣住人の間からは、懸念の声が相次いでいるという。