日本食が世界で注目を集めている(写真/GettyImages)
秋葉原駅クリニックの医師・大和田潔さんが言い添える。
「飲みもので気をつけてほしいのは、清涼飲料水や缶コーヒーなど甘いものを一気に摂らないようにすること。甘さの正体であるブドウ糖が体内に入ってくるとすい臓がインスリンを出して血糖値を下げるのですが、日本人のすい臓は欧米人に比べてインスリンを一度に出せる量が少ない。
そのせいで甘いジュースを一気に飲むと血糖値が急上昇し、糖尿病リスクを高める『グルコーススパイク』という状態になってしまう。同じ糖分量でも、一気に摂ると欧米人より血糖値が上がりやすく、日本人はより糖尿病になりやすいのです」
飲料だけでなく、白米や小麦など精製された穀類も、一気に摂るとグルコーススパイクを招きやすい。これほどまでに国や民族ごとに、食材の合う、合わないがあるわけだ。
そして、フランスで注目を集める日本の食材があるという。フランス在住のジャーナリスト・ヴェイサードゆうこさんが言う。
「いまフランスでリスペクトを集める“スーパーフード”とは、納豆のことです。フランスのテレビ番組では罰ゲームに使われるくらい、納豆のにおいとネバネバの見た目がどうしても受け入れられないという人が多かったのですが、それでもトライしてみようという人が出てきています。
世界を見渡したとき、日本におけるコロナの感染者数や死者数は、蔓延を抑え込んでいるという評価です。それで、日本人の日常的な食習慣を参考にして感染を免れたいと考える人が増えているのです」
注目されているのは納豆だけではない。ヴェイサードゆうこさんが続ける。
「フランスでは納豆に加え、わかめやひじきなど、日本食として食べられている食物繊維が豊富な海藻類も、コロナに対する免疫力を向上させるのではないかということで注目されています」
とはいえ、残念ながらフランス人にとっての海藻は日本人にとっての赤ワインと同じかもしれない。というのも、こんな事情があるからだ。
「海藻を食べる文化を持つのは世界でも日本とアイスランドくらいで、食べて分解できる酵素を持つのは普段食べている人だけ。日常的に食べていれば、海藻を分解する酵素を持つ菌が腸内に増えます。海にいる海藻を分解する細菌の特徴が腸内細菌に受け継がれると考えられています。できれば、ひじきや岩のりなど、素材そのままのものを摂るといいでしょう」(大和田さん)
アサクサノリに関する研究データでは、日本人の腸には海藻の食物繊維を分解できる特殊な細菌がいるとの結果も報告されている。そのうえ、海藻を分解したときに生成される「短鎖脂肪酸」は体脂肪をつきにくくする効果があり、日本人の長寿と関連するのではともいわれているのだ。
※女性セブン2021年1月7・14日号