山崎の活動を長年チェックしてきたドラマ・映画ライターの小田慶子氏は、彼のキャリアをこう振り返る。
「映画『斉木楠雄のΨ難』(2017年)のときに特報で『山崎賢人、(漫画の)実写やりすぎじゃね?』と自分にツッコむセリフを言っていましたが、そのとおり、漫画原作の多い彼。しかし、その2017年に『ジョジョの奇妙な冒険』と『斉木楠雄〜』が公開されたタイミングで、少女漫画原作から少年漫画原作にシフトチェンジし、イメチェンが上手く行きました。
少女漫画原作が続いたときは“ドS王子”のような役が多く、『このまま女子の萌え要員となるのか?』と思っていましたが、むしろ熱血ヒーロー的な男臭い役の方が、彼には合っていたようです。
やはり少年漫画を原作とする『今際の国のアリス』では、家でゲームばかりしていたニートのアリスを演じています。やさぐれてオタクっぽい序盤から、ウサギを守って戦うヒーローとなる終盤まで、山崎さんがこれまで演じてきた役の集大成になっています。特に第3話に大きなターニングポイントがあるのですが、そこでのエモーショナルな演技が素晴らしかったです」(小田慶子氏)
さらに小田氏は、山崎自身のキャラクターが演技に反映されることがあると指摘する。
「山崎さん本人のキャラクターとしては、長年の友人である菅田将暉さんや、『キングダム』で共演した吉沢亮さんから、その天然ぶりを指摘されています。『あさイチ』に生出演したときは、慌てるあまりNHKなのに「CM!(CMにしてください)」と言ってしまうなど、かなり“自由”な人。しかし、そこが逆に役者らしいというか、ポテンシャルとなって、役柄にハマったとき、見る人の予想を上回る演技になるのではないでしょうか」(小田氏)