国内

ルポ「水際対策の最前線」 外国人新規入国停止初日の成田空港は長閑だった

閑散とした成田空港第1ターミナルの出発フロア(写真は12月26日、時事通信フォト)

閑散とした成田空港第1ターミナルの出発フロア(写真は12月26日、時事通信フォト)

 イギリスで新型コロナウイルスの変異種がみつかり、続けて南アフリカ由来の変異種が見つかった。2020年春の、欧州由来のウイルスを防ぐ対応が遅れたことへの反省だろうか、日本政府は外国人の新規入国停止を決めた。島国だから鎖国しやすくて便利だと思うかもしれないが、実際には水際であるはずの空港の様子は鎖国とは違っているようだ。俳人で著作家の日野百草氏が、新規入国停止のその日、成田空港における感染症の水際対策の最前線を取材した。

 * * *
 全世界から日本への新規入国停止が始まった2020年12月28日、京成上野駅。成田空港に向かう京成スカイライナー乗り場に人影はなかった。ちらほらと日本人らしき家族はいるが3組ほどだろうか、あとは外国人が数人といったところ。筆者は10分前から乗車しているが誰もいない。2020年2月以前、25日から春節だった1月に来日した92万4790人の中国人が押し寄せたころは満席だったはずのスカイライナーに、乗客が一人もいない。思えば新型コロナウイルスで死者が続出し、都市封鎖まで敢行された中国から92万人4790人も入れてしまったが(大事な数字なので二度書く)、航空会社も旅行業者も店も観光客も悪くない。入れてしまったのは日本政府である。台湾は1月22日に武漢、そして24日には中国全土の団体旅行の往来を禁止したのに、日本は入れた。

 結局、筆者のみを乗せて発車。次の日暮里で2人ばかり乗ってきたので安心したが、正直どこへ連れていかれるのか不安になってしまった。

「私は仕事で福岡です」

 話しかけると日本人のビジネスマン。夕方の福岡便に乗るという。

「今日のうちに福岡に入って明日はクライアントに出向きます。そのまま実家へ帰ります」

 実家が九州ということでちょうどいいのだろう。

「(車両に人)乗ってませんね、こんなにいないのはゴールデンウィーク以来ですね」

 やはり彼も人が乗っていないのを気にしていたか。ゴールデンウィークとは2020年の緊急事態宣言のころだろう。確かにあのときは特急どころか在来線すら閑散としていた。

 それにしても京成電鉄、筆者の生まれ故郷の千葉県に本社を置く私鉄だけに心配だ。これでは赤字を垂れ流しているだけだろうに。コロナ禍がこのまま続けば、日本の鉄道網そのものが変わってしまうかもしれない。現に2021年春ダイヤ改正から終電の繰り上げ、初電の繰り下げが実施されるが、さらなる減便と特別列車の間引き、廃止が相次ぐ恐れもある。

関連記事

トピックス

行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
SNSで「卒業」と離婚報告した、「第13回ベストマザー賞2021」政治部門を受賞した国際政治学者の三浦瑠麗さん(時事通信フォト)
三浦瑠麗氏、離婚発表なのに「卒業」「友人に」を強調し「三浦姓」を選択したとわざわざ知らせた狙い
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン