「欠航」の表示が並ぶ成田空港出発便の電光掲示板(写真は12月26日、時事通信フォト)

「欠航」の表示が並ぶ成田空港出発便の電光掲示板(写真は12月26日、時事通信フォト)

 終点の成田空港駅(第1ターミナル)に着く。降りる人もまばら、この前駅の空港第2ビル駅(第2、第3ターミナル)も同じようなものだった。今日は12月28日、昨年までなら年末年始を海外で過ごす観光客や日本で楽しむ観光客、国内外の帰省客でごった返していたはずだ。とくに入り口に誰のチェックもなく、空港のエスカレーターを上がる。途中「成田国際空港PCRセンター」の看板。空港では会うことの少ない白衣のスタッフが多数。緊張感が漂う。誰とも会わないエスカレーターを4階まで上がりしばらく歩くと、北ウイングの国際線出発ロビーが目の前に広がる。

「暇疲れします」と力なく笑う

 とてつもなく広大なフロアは空港職員や航空会社のスタッフだけで客はまばら。上から全景見渡せるエントランスに上がってみる。この巨大空港の開放感たるや人生初の経験。ほとんど閉鎖だが、ごく一部のチェックインカウンターにはベトナム人と中国人、ちらほら日本人もいる。こぢんまりとした集団はベトナムの人たち。ハノイ便の出発時間が変更になったらしく少々お疲れ気味。

「帰ります。嬉しい」

 それでも笑顔。日本での日々、いろいろあっただろうに。どうかお幸せに。北ウイングの出発便は電光掲示板の限りはこの遅れているハノイ便の他はソウル便とジャカルタ便のみ。日本人と思っていたのは韓国の人で仲間と記念撮影、あとヒジャブの女性のいるグループはインドネシアの人々、夜の香港便は欠航なので、北ウイングの国際線出発はこれだけ。大型の電光掲示板も数行の表記でなんとも寂しい。

「(これから)大阪です。仕事ですよ」

 椅子しか並んでいないロビーでノートパソコンを広げている男性に話を聞く。夜の便で大阪に仕事だそう。国内線の電光掲示板を見れば福岡便と大阪(関空)のみ。さっきスカイライナーで出会った福岡行きの女性はあれに乗るのだろう。この2便ともピーチ航空(ピーチ・アビエーション)で、2020年10月25日から第1ターミナルになったというポスターが多数貼られていた。企業努力の賜物だろう。それなのにコロナ禍、厳しいことは容易に想像できるが、大手が軒並み欠航の中、こうして飛ばしている。意見は様々だろうが、格安航空会社に休んでいられる余裕はない。2020年11月に破産したエアアジアにはなりたくないだろう。

 国際航空運送協会によれば2020年の世界の航空会社の損失額は12兆4千億円、ヴァージン・アトランティックもタイ航空も破綻した。航空会社はどうしても観光依存が強くなる。生活インフラとしての在来線を持つ鉄道会社より深刻だ。

 南ウイングまで歩く。空港内のショッピングモールはどこも休業中。

「暇疲れします。売り上げもわずかです」

 数少ない営業中のショップ店員が力なく笑う。ごく一部は営業しているがモールのどこに行っても空港関係者ばかりで客はいない。途中、マクドナルドに寄ってハンバーガーのセットを頼む。誰もいない通路横の休憩スペース、ここでも食べていいとのことで席につく。ふと目の前にトイレ、用を足そうと席を立ち、戻ってみるとテリヤキバーガーがない。よほどお腹の空いた人がいたのだろう。さっき耳にした「置き引き、盗難が多発しています、ご注意ください」の空港アナウンスが脳内で虚しく響く。困っている人の役に立ったと思うことにして残されたポテトで食事を済ませる。いいさ、おいしく食べてもらえたなら本望だ。

 他に客は白人の男性とアジア系の女性の2人だけ。マクドナルドは営業していたものの、飲食店もほとんどが休業中。成田周辺は空港関連の非正規職で生活している人も多い。頼みの成田山新勝寺も初詣は自粛だろうし、これでは地域経済も厳しい。

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