もう一人の横綱・鶴竜の初場所が、白鵬の未来も予言してくれそうだ。鶴竜の前に立ちはだかるのは、それぞれの事情を抱えた3大関のほか、大関返り咲きを狙う高安や御嶽海、北勝富士、琴勝峰、隆の勝、大栄翔、阿武咲といったガチンコの日本人力士たち。そして、さらに高い壁になるのが“身内”であるはずのモンゴル人力士たちだという。
「モノゴル人力士にはいくつかのグループがあり、玉鷲のように白鵬グループとは交わらない者もいる。大関復帰の可能性がある照ノ富士は伊勢ケ浜部屋で元横綱・日馬富士の弟弟子だった。かつては白鵬グループの一人として、元横綱・稀勢の里潰しの急先鋒として戦ったこともあるが、2017年の貴ノ岩事件(※日馬富士が貴ノ岩に暴行した事件)で、白鵬の裏切りによって日馬富士が引退に追い込まれたことを契機に、モンゴル人力士の関係が大きく変わってしまった。本来なら白鵬と鶴竜が照ノ富士の大関復帰を全面アシストするところだが、照ノ富士の白鵬憎しは根深く、もはや協力関係は風前の灯火。照ノ富士は両横綱とはガチンコだと見られているし、白鵬と犬猿の仲だった元横綱・朝青龍の甥っ子である豊昇龍もいる。2横綱が休場を繰り返しているうちにモンゴル人力士たちの派閥も大きく様変わりしている」(相撲担当記者)
1月10日から始まる初場所で、もし鶴竜がモンゴル人グループの“反乱”で引退に追い込まれ、貴景勝が優勝して横綱に昇進するようなことがあると、いよいよ角界の勢力図は大きく変わり、大横綱である白鵬も、土俵に上がる前に居場所を失う可能性が出てきた。
■取材・文/鵜飼克郎(ジャーナリスト)