感染者が減らず、小池百合子都知事はお手上げ(写真/アフロ)

感染者が減らず、小池百合子都知事はお手上げ(写真/アフロ)

 怖いのは冒頭の60代男性のような自宅療養中での急変だ。1月4日には栃木県でも、医師の判断で自宅療養とされた高齢者の容体が急変し、搬送先の病院で亡くなった。このケースでは保健師らが毎日、健康状態を確認していたといい、栃木県の福田富一知事は「県の対応に問題はなかった」とコメントした。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが指摘する。

「厚労省のマニュアルは、自宅療養者の健康確認について、『1日1回を目安』と定めています。患者の容体が急変する報告が相次ぐなか、この緩い基準では無症状の患者を数日放置しかねない対応です。今後も自宅療養者が増え続けると予想されるなか、マニュアルの見直しが急務です」

 自宅療養以上に危ぶまれるのが、陽性判明後に入院や宿泊療養先の調整が難航するケースだ。東京都ではそうした「入院順番待ち」(入院・療養等調整中)が急増中で、1月12日は6141人だった。昨年12月8日の561人から、1か月で一気に10倍以上も膨れ上がっている。

 前述の自宅療養者と合わせると、都内で「病院外」にいる感染者は実に1万4000人を超え、約3400人の入院患者の4倍以上だ。1月上旬に、自宅待機を経験した都内在住の20代男性が言う。

「陽性が判明して3日後に、ようやく保健所から連絡があったのですが、療養施設は満室なので自宅療養を指示されました。しかも、食料の配布サービスもパンクしているので、スーパーで食料品を買いだめするよう言われました。迷惑をかけたくないので友達に食料などを届けてもらいましたが、ほかの待機者や自宅療養者のなかには、スーパーやコンビニに行っている人は多くいると思います」

 新型コロナに感染して、入院したくても入院できない“入院拒否”の背景には何があるのだろうか。中村さんは「感染急増と当事者の準備不足のコンビネーション」を指摘する。

「感染者が急増して、医療サイドの受け入れ能力を超えたために入院できない人が続出しています。本来なら、感染が収まった時期に医療体制を整えておくべきでしたが、東京都の小池百合子知事や東京都医師会はその対策を怠りました。それなのに、国に責任を押し付けるような言動には疑問を感じます」

 入院順番待ちは東京都以外でも、全国で増えている。1月上旬現在、主要都市だけで大阪府約1170人、千葉県約3300人、栃木県約930人、京都府約510人が入院先を探している。

「このままのペースで感染者が増加すると、2月初頭には全国の待機者は3万人を超えるでしょう」(一石さん)

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