国際情報

慰安婦問題 日本の拠出金の「残りの5億円」が韓国内での火種に

文在寅政権の慰安婦合意反故で国内から反発も(写真/EPA=時事)

文在寅政権の慰安婦合意反故で国内から反発も(写真/EPA=時事)

 韓国人の元慰安婦らが損害賠償を求めて日本政府を訴えた裁判で、ソウル中央地裁が1月8日、日本政府に対し、慰安婦一人当たり1億ウォン(950万円)、総額12億ウォン(1億1400万円)の賠償を命じた。

 今回の判決自体も日本政府は「断じて受け入れられない」としているが、そもそも慰安婦問題は2015年の日韓合意で、「最終的かつ不可逆的」に解決したはずである。その際、元慰安婦を支援する「和解・癒やし財団」に日本が10億円を拠出した。

 この拠出金から当時生存していた元慰安婦の7割以上に当たる35人が1人あたり約1億ウォンの「癒やし金」を受け取り、遺族には同約2000万ウォンが支給された。

 しかし、文在寅政権は慰安婦合意を反故にし、日本政府の合意を得ずに一方的に財団を解散させた。「そのため、日本政府の拠出金は5億円余りがまだ残っていて、宙に浮いている状態です」(日韓問題に詳しい麗澤大学客員教授の西岡力氏)

 この残された5億円が、今度は韓国政府と慰安婦の争いの火種になりそうだという。慰安婦問題に詳しいジャーナリストの赤石晋一郎氏が語る。

「慰安婦合意は『韓国挺身隊問題対策協議会』(現・正義記憶連帯)などの支援団体の激しい反対により潰され、今回の裁判へと発展しました。しかし、大半の元慰安婦は慰安婦合意に賛同しており、残金については“私たちが管理すべきだ”との主張も唱えられている。このお金の管理権を巡って、近く別の元慰安婦らによって韓国政府の責任を追及する訴訟が起こされると聞いています」

“暴走裁判”は果てしなく続くのか。

※週刊ポスト2021年1月29日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
ロス近郊アルカディアの豪
【FBIも捜査】乳幼児10人以上がみんな丸刈りにされ、スクワットを強制…子供22人が発見された「ロサンゼルスの豪邸」の“異様な実態”、代理出産利用し人身売買の疑いも
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン