ユニクロ・ジーユーとの品揃えの違い
コロナ禍において、各メーカーとも売れ残り在庫は昨年よりも増えました。そうなると、しまむらは安く仕入れることができ、品揃えをしやすくなったという要素もあるでしょう。アディタスの靴下やKappaのジャージパンツ、グンゼの肌着などのブランド品は仕入れによるものです。
しかし、今のしまむらは、「クロッシー」というプライベートブランドを筆頭に、オリジナル商品の比率が高まっています。その構成比は公開されていないのですが、4割くらいはオリジナル品に替わっているのではないかと言う業界関係者もいます。確かに売り場を見ていてもオリジナル品比率は高まっています。
2015年に大ヒットした「裏地あったかパンツ」もオリジナル品です。どこかのブランド品を仕入れたものではありません。
こういう品揃えを見ると、ユニクロのようなSPA(製造小売り)型低価格ブランドを思い浮かべてしまいますが、現在のしまむらの売り場を見ると、ユニクロ&ジーユーに比べると顧客の求めているものが異なるのではないかと感じられてなりません。
先日、筆者も久しぶりにしまむらの売り場を覗いたところ、買い物に来ていた近所の主婦たちは、自身や家族のファッション用品を買いに来たという感じはなく、靴下や肌着、ホームウェアなどの実用品を買い求める人がほとんどでした。言葉は悪いですが、商店街にあるような在庫処分店や、地方ローカルにある安物販売の衣料品店とほとんど同じように見えました。
昨年11月の+Jのフィーバーを巻き起こしたユニクロ、そして好調を続けるジーユーとは明らかに同じ低価格ゾーンとはいえ、しまむらは店の雰囲気が異なります。
昨年、東京・銀座にオープンしたユニクロの旗艦店(時事通信フォト)
かつてアパレル業界では、「我々はファッションを売っているが、ユニクロは実用品を売っている」と揶揄する人がたくさんいましたが、+Jの熱狂ぶりやユニクロUへの支持の高さなどを見ていると、すでにユニクロは「ファッションを売っている」といえます。もちろん、肌着や靴下、寝間着などの実用品も売っていますが、もう「実用品」と一括りにはできなくなっています。
一方のしまむらですが、ローコストオペレーションゆえにチープな什器や内装、雑然とした陳列も相変わらずで、単なる“安物屋”のイメージは拭いきれません。プライベートブランド「クロッシー」のコーナーもほぼ埋没してしまっており、他の商品同様、実用品コーナーとしか見えませんでした。