オフィス面積縮小や売却は今後も続く
2度目の緊急事態宣言の発出で都心エリアの飲食業界は壊滅的な打撃を受けている。飲食テナント向けのビルは、極端に買い手がつきにくい状況にある。強気で買っているのは、アジア系の外国資本が中心という見方もある。
2020年は持続化給付金や緊急融資枠の拡大などで、不動産業界はそれなりに潤った。しかし、2021年はコロナによるマイナスの影響が顕著になってくるはずだ。
東京港区南青山の本社ビル売却を発表したエイベックス(時事通信フォト)
先ごろ経営不振のエイベックスビルや、最近では電通本社ビルの売却が業界で話題になった。今年は業績悪化企業が売り手となる、こういった大型案件の売買も増えそうな気がする。
企業によるオフィス面積縮小への流れは、政府のテレワーク推奨の動きとも相まって、今後も強まりそうである。オフィス需給は緩んで、基本的に借り手市場となる。この流れは長く続くはずだ。
売却が業界で話題になった電通本社ビル(時事通信フォト)
生存競争の厳しさを思い出させてくれた
コロナは日本人の働き方や生き方、住み方を一気に合理化させるきっかけになったのではないか。毎日満員電車に揺られる通勤や不条理なお付き合い残業、不急不要の会議や出張、非効率なホウレンソウなどが、やがては過去のものになる。
この変化についていける企業は生き残り、取り残される企業はやがて消える。すでにその変化は起き始めている。テレワークを推進する企業には優秀な人材が集まり、そうでない企業からは優秀な社員が逃げ出す。同様の現象は、新卒採用の現場でも起こるだろう。
コロナは日本人に生存競争の厳しさを思い出させてくれる役割も果たしている。