ビジネス

変わる企業 不要不急の会議、上司への忖度、広い職場も過去のものに

コロナ後は毎日出社で無駄な会議が行われることもなくなるか

コロナ後は毎日出社で無駄な会議が行われることもなくなるか

 新型コロナによって激動する時代に身を置いていると、誰もが目の前の事象の移り変わりについていくのに必死だ。しかし今、日本社会は大きな価値観の変動期にある。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が、その変わりゆく社会の一断面を、人々の働き方や、その場所となる不動産の役割という視点から考える。

 * * *
 少し前まで「働き方改革」というフレーズをよく聞いた。厚生労働省のサイトには、働き方改革について、

〈「非正規雇用の処遇改善」「賃金引上げと労働生産性向上」「長時間労働の是正」「柔軟な働き方がしやすい環境整備」など9つの分野について、具体的な方向性を示すための議論を行いました〉

 などと書いてある。これを分かりやすく言い換えると、「少子高齢化で働き手が減少してきたので、これまでのような労働力の使い捨てはやめて、限られた労働者をもう少し効率的、かつ合理的に活用しようよ」ということになるのだろう。

 さらに砕くと「ブラック企業はあかんよ。もうちょっと労働者を大事にせいよ」ということではないか。

「ホウレンソウ」を求める上司は無能

 日本社会には「忖度」などという欧米言語に翻訳できない概念がある。例えば、上司が退社しない限り部下は仕事がなくても残業しているフリをする、というのは日本の職場では日常茶飯事に見られる忖度行動である。

 この忖度によって若い社員は自由な時間を奪われ、企業は余計な残業代や光熱費の出費を強いられる。日本のホワイトカラーの生産性が先進国の中で著しく低いのは、こういう非合理的な労働環境が当たり前のように存在していることも一因である。

 また、日本には「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」という一見それらしく思えるサラリーマンのビジネス慣行がある。冷静に考えればおかしなやり方である。

 ホウレンソウは、上司があくまでも部下よりも有能で正しい判断を行えることを大前提としている。民主主義という統治システムが、有権者が常に賢明な判断を下すであろうことを前提としているのと、どこか似ている。

 しかし、人間は常に間違いを犯す。上司が常に正しい判断を下すとは限らないことは、一度でもサラリーマンを経験した人間なら、誰でも分かるはずだ。

 さらに言えば、常に部下からのホウレンソウを求めるような上司は、総じて小心で無能なことが多い。つまり、日本の企業社会のホウレンソウという習慣は、おバカな上司のためのシステムであって、職務の効率的な遂行に逆行しているケースが多い。

 日本の企業社会は、こういった不合理な習慣が無数に存在していたのだ。そこにコロナがやってきた。

関連記事

トピックス

ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン