国内

コロナ陰謀論に囚われた人々が各所でトラブルを引き起こす構図

新型コロナウイルスに関する電話相談の対応に当たる保健所の職員(イメージ、時事通信フォト)

新型コロナウイルスに関する電話相談の対応に当たる保健所の職員(イメージ、時事通信フォト)

 インターネットはとても便利だ。どこへも移動せずに様々な物事を見聞きできるし、知ることが出来る。だが、それが世界のすべてではない。そんな当たり前のことに気づけなくなり、レコメンドされるネット情報だけがこの世のすべてだと信じ、新型コロナウイルスについても荒唐無稽な説を世の中にも主張して、混乱を引き起こす人たちが出現している。ライターの森鷹久氏が、視野狭窄になった彼らが巻き起こす不協和音の数々について、レポートする。

 * * *
 マスコミはコロナを煽りすぎ、専門家の言うことも信用できない、政府は無能──。

 テレビや新聞から流れる情報の多くが新型コロナウイルス関連に覆われる状態が続くにつれ、SNSを中心に、報じられている内容を否定する人たちが出現している。彼らは、今の社会を覆う悪い雰囲気はマスコミや専門家、政府が作り出したのだと責任転嫁するような言葉をネットで発信し続けている。

 報じられていることや医者や役所が言うことは何も信用できないし、信頼できないという書き込みは、当初は極端な考え方の少数によるものと見られていた。ところが最近では、感染拡大と再びの緊急事態宣言発令の中で、無視できない規模に増殖している。それが単なる「落書き」として誰も本気にしないなら問題なかったのだが、落書きはやがて言説になり、さらに「思考」なのだと一部の人々が強く認識し、その人々たちによって『情報』として拡散された結果、医療の最前線では、笑えない「綻び」が出現している。

「頭痛が止まないという中年の男性から電話連絡を受けたのは、昨年の夏頃でした。当然『コロナではないか』と心配されていたのですが、発熱も咳も倦怠感もないと。感染者数が増加しすぐには検査を受けられない、しばらく様子を見てほしいとお願いすると、突然激昂されました」

 こう話すのは、都内の保健所職員・山田敏晴さん(仮名・50代)。実は山田さん、保健所では食品系の部署にいて、感染症に関する知識はほとんどなかった。だが、コロナ感染が急速に広がったことで人手が足りなくなり、応援に駆り出されていたのである。保健所のマニュアルに沿って対応をしていただけだったのだが、男性の怒りは収まらない。

「頭痛だけだとコロナの疑いがあるとは言えませんが、こんな時期に病院へ行ってください、なんてことも薦められない。電話で1時間以上、説得したのですが『コロナに決まっている』と引いてくれない。一体、なんでそんな確信を持っているのかと伺ってみたんです」(山田さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

9月6日に成年式を迎え、成年皇族としての公務を本格的に開始した秋篠宮家の長男・悠仁さま(時事通信フォト)
スマッシュ「球速200キロ超え」も!? 悠仁さまと同じバドミントンサークルの学生が「球が速くなっていて驚いた」と証言
週刊ポスト
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
沢口靖子
《新たな刑事モノ挑戦も「合ってない」の声も》沢口靖子、主演するフジ月9『絶対零度』が苦戦している理由と新たな”持ち味”への期待 俳優として『科捜研の女』“その後”はどうなる?  
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
家族が失踪した時、残された側の思いとは(イメージ)
「お父さんが死んじゃった」家族が失踪…その時“残された側”にできることとは「捜索願を出しても、警察はなにもしてくれない」《年間の行方不明者は約9万人》
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン