安心して怖がれるのは往年の名作
3位は、フランシス・コッポラ監督の『地獄の黙示録』。でも、『1917命をかけた伝令』や『ディア・ハンター』も捨てがたい。
『1917命をかけた伝令』は、第一次世界大戦下、最前線にいる仲間の命を救うため、2人のイギリス兵が命をかけて重要なメッセージを届ける任務を負う。戦場を駆け抜けるそのリアル感がすごい。
『ディア・ハンター』は1978年製作のマイケル・チミノ監督作品。ベトナム戦争で精神が壊れていくさまを、クリストファー・ウォーケンが鬼気迫る演技で演じている。
4位は、黒澤明監督の『天国と地獄』。黒澤映画の中で最もハラハラドキドキするのはこれだと思う。三船敏郎、仲代達矢、志村喬、なんといってもすごいのが、犯人役の山崎努。
5位は『灰とダイヤモンド』。アンジェイ・ワイダは、ぼくの好きな監督の一人。ドイツ降伏後、ポーランドからロンドンへ逃げた亡命政府との神経戦が始まる。主人公は、亡命政府系の若き暗殺者マチェク。恋人ができて堅気の生活を送ろうとするのだが。
ラスト、暗殺に失敗し、撃たれ、ゴミ捨て場でのたうちまわって死んでいく。一方、恋人が働くホテルでは、伯爵などがポロネーズを踊っている。この最後のシーンがとにかくすごい。
マチェク役はポーランドのジェームズ・ディーンとも言われたズビグニエフ・チブルスキー。とにかくかっこいい。
狂気といえばやっぱりこの2本
6位は、最近大ヒットした『ジョーカー』。ホアキン・フェニックスがなんとも不気味でいい。絶対悪のジョーカーがどうやって作りあげられていったのか。ハラハラドキドキするが、ヒリヒリもする。
音楽にヒリヒリしたのは、『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』だ。パガニーニ役を演じたデイビッド・ギャレットはバイオリニストでモデル。実際に演奏しているだけあって、演奏シーンは説得力がある。煽情的な旋律と、速弾きのテクニックは、見ているだけでドキドキしてしまう。悪名高き女たらし、悪魔のバイオリニストとも言われたパガニーニの臭いをプンプンとさせている。