国内

海外紙による東京五輪報道に右往左往する日本メディアの実態

東京五輪に関するニュースは海外からもたらされることも多い(AFP=時事)

東京五輪に関するニュースは海外からもたらされることも多い(AFP=時事)

 東京五輪に関することは、たびたび日本ではなく海外からのニュースで新事実を知らされる。2021年開催を断念すると外国紙が報じたとき、日本メディアも事実確認のために奔走していた。実際に報じられた文言からだけでは分からない右へ左への大騒ぎの様子を、ライターの宮添優氏がレポートする。

 * * *
 東京五輪を中止せざるをえないと非公式に結論、2032年開催を目指す──1月21日、イギリスのタイムズ紙(The Times)が衝撃のニュースを報じた。日本政府は非公式に、東京五輪を中止せざるを得ないと結論づけたというのだ。日本語メディアでこの記事が紹介され、取材に応じたのが「連立与党幹部」であるのを知ったSNS上の日本人ユーザーからは「日本のことをなぜ外国紙の情報で知らなければならないのか」という声が相次いだ。海外のIOC委員などではなく、日本の政治家が情報源であることに驚かされたのだ。

 英紙の記事では「誰も最初に言いたがっていない」「開催は難しいという意見で一致している」という幹部のコメントを紹介している。このコメントをめぐって、日本メディアは右往左往、記事の裏どりに奔走したという。

 取材に応じた「連立与党幹部」とは、一体誰なのか。大手紙政治部記者の話。

「一般的に与党幹部といえば、幹事長、総務会長、政調会長、選挙対策委員長の4名を指します」(大手紙政治部記者)

 幹部と言われて具体的な役職名まで定まっていることは、広く一般に知られているとは言いがたい事実だろうが、この符号は「記者クラブ」加盟社に所属する記者の間では、ほぼ共通の認識である。とはいえ五輪中止報道の発端は英紙で英文の記事なのだから、英メディアと日本の慣習とは異なるのではないかと思われるかもしれないが、今回の記事の情報源については、同じ認識だとの情報が東京の各記者クラブにもたらされているようだ。

 日本の記者クラブの基準でいうと、現在の「与党幹部」は自由民主党の二階俊博幹事長(和歌山3区)、佐藤勉総務会長(栃木4区)、下村博文政務調査会長(東京11区)、山口泰明選挙対策委員長(埼玉10区)の4人、ということになる。そして、自民と「連立」する与党の公明党幹部を合わせれば、「連立与党幹部」はおよそ8名。いったん報じられた情報の真偽を確かめるために、この8人を直撃する「あて取材」を日本の各メディアの政治部記者が行えば、英紙報道が正しいのかどうか「裏どり」ができそうなものだが……。

関連記事

トピックス

異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンにウジ虫混入騒動》体重減少、誹謗中傷、害虫対策の徹底…誠実な店主が吐露する営業再開までの苦難の40日間「『頑張ってね』という言葉すら怖く感じた」
NEWSポストセブン
広島・広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
【「便器なめろ」の暴言も】広陵「暴力問題」で被害生徒の父が初告白「求めるのは中井監督と堀校長の謝罪、再発防止策」 監督の「対外試合がなくなってもいいんか?」発言を否定しない学校側報告書の存在も 広陵は「そうしたやりとりはなかった」と回答
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
大谷翔平&真美子さん、イチロー&弓子さん、賀来賢人&榮倉奈々、反町隆史&松嶋菜々子…“しあわせな結婚”を実現した理想の有名人夫婦
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《過激すぎる》イギリス公共放送が制作した金髪美女インフルエンサー(26)の密着番組、スポンサーが異例の抗議「自社製品と関連づけられたくない」 
NEWSポストセブン
1990年代、多くの人気バラエティ番組で活躍していたタレント・大東めぐみさん
《交通事故で骨折と顔の左側の歯が挫滅》重傷負ったタレントの大東めぐみ「レギュラーやCM失い仕事ほぼゼロに」後遺症で15年間運転できず
NEWSポストセブン
ポータブルトイレの大切さを発信するYoutuber・わさびちゃん
「そもそもトイレの話がタブー過ぎる」Youtuberわさびちゃんが「トイレ動画」を公開しまくるようになったきっかけ「芸人で恥ずかしいこともないし、夫に提案」
NEWSポストセブン
1990年代、多くの人気バラエティ番組で活躍していたタレント・大東めぐみさん
《事務所が猛反対もプロ野球選手と電撃結婚》元バラドルの大東めぐみ、人気絶頂で東京から大阪へ移住した理由「『最近はテレビに出ないね』とよく言われるのですが…全然平気」
NEWSポストセブン
全国で車中泊をしているわさびちゃん夫婦。夫は元お笑い芸人のピーチキス・けん。
YouTuber・わさびちゃんが「トイレ動画」でバズるまでの紆余曲折「芸人時代に“女”を求められたり、男性芸人から嫉妬されたり…」
NEWSポストセブン
悠仁さまに関心を寄せるのは日本人だけではない(時事通信フォト)
〈悠仁親王の直接の先輩が質問に何でも答えます!〉中国SNSに現れた“筑波大の先輩”名乗る中国人留学生が「投稿全削除」のワケ《中国で炎上》
週刊ポスト
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《借金で10年間消息不明の息子も》ビッグダディが明かす“4男5女と三つ子”の子供たちの現在「メイドカフェ店員」「コンビニ店長」「3児の母」番組終了から12年
NEWSポストセブン
女児盗撮の疑いで逮捕の小瀬村史也容疑者(37)。新たに”わいせつ行為”の余罪が明らかになった
「よくタブレットで子どもを撮っていた」不同意わいせつ行為で再逮捕の小瀬村史也容疑者が“盗撮し放題だったワケ” 保護者は「『(被害者は)わからない』の一点張りで…」
NEWSポストセブン
成年式を控える悠仁さまと第1子を出産したばかりの眞子さん(写真・右/JMPA)
眞子さん、悠仁さまの成年式を欠席か いまなお秋篠宮家との断絶は根深く、連絡を取るのは佳子さまのみ “晴れの日に水を差す事態”への懸念も
女性セブン