「自己啓発型」と「キャリアアップ型」休暇の違い
ところで長期休暇そのものは必ずしも珍しいわけではなく、これまでにも1~3か月程度の休暇制度を取り入れている会社はあった。
たとえばヤフーは2013年に勤続10年以上の正社員を対象に、最長3か月の長期休暇を取得できる「サバティカル制度」を導入した。またリクルートテクノロジーは勤続3年以上の社員を対象として、3年ごとに最大で連続28日間の長期休暇制度を取り入れ、取得した社員には会社から一律30万円が支給される。
コロナ禍で人件費負担が重くのしかかるANA(AFP=時事通信フォト)
しかし全日空のように最大2年間という長期間の休暇制度はあまり例がない。その間、会社から給料は支払われないので休暇の使い方に制約を課したり、期間中に細かな報告を求めたりすることは難しい。
ヤフーなどの制度を「自己啓発支援型」と呼ぶなら、全日空の制度は「キャリアアップ型」と呼べるかもしれない。
「キャリアアップ型」は社員を抱え込む日本企業にとって、かなり思い切った制度といえる。普通に考えて最大2年間休めるといっても、生活のために他社で働かざるを得ない人も多くなるだろうし、国内外に留学する人や起業にチャレンジする人、そして中には転職活動する人も出てくるだろう。