逆風下の導入で問われる企業の将来性
ただ実際にフタを開けてみると、会社側の思い通りになるとは限らない。
優秀な人材は留学して付加価値を高め、より将来性のある働き場所を見つけたら転職する可能性が高い。あるいは起業したり、新しい仕事にチャレンジしたりして、成功する目処が立てばキャリアチェンジするかもしれない。逆に会社に寄りかかっていたい者や、転職や起業に失敗した者だけが戻ってくるという結果にならないとも限らない。
かつて不況の折に希望退職を募った会社では、社内の評価が低く、応募して退職するものと期待されていた社員は応募せず、応募したのは将来を嘱望されていた社員ばかりだったという事態が相次いだ。人員削減を狙って成果主義が導入された際も、ギスギスした職場に嫌気がさして辞めていったのは、主に成績優秀なエース級の社員だった。
逆風下では、このような現象がしばしば起きる。たとえ日本を代表する大企業といえども、コロナ禍で将来の見通しが立たなくなっている。会社の将来性は、社員がいちばんよく知っているのかもしれない。