ライフ

コロナ感染の後遺症か 認知機能や思考力低下、記憶障害、PTSDも

コロナ回復者のデータを見ると、様々なコロナ後遺症の事例が(イメージ)

コロナ回復者のデータを見ると、様々なコロナ後遺症の事例が(イメージ)

 新型コロナウイルス感染症の後遺症には、脳や心臓に異変をもたらす「血管損傷」や味覚・嗅覚の異常、脱毛や目の充血、体重減少、不眠や食欲不振など精神面の不調なども報告されている。

 さらに、認知機能の低下も心配されるという。多くのコロナ回復者を受け入れているヒラハタクリニックのデータによると、「後遺症外来」を訪れた808人のうち81.5%の人が思考力の低下を訴えている。

 昨年4月にコロナに感染した東京在住の60代男性Aさんは、重症化し集中治療室で治療を受けて生還したが、回復してしばらくの間、記憶障害があったという。

「リハビリ病院に移ってから看護師に『検査の結果、年齢より認知能力が落ちているようです』と言われ、毎日1時間ほど簡単な計算問題やパズルなどをやっていました」

 昨年3月に感染した元近鉄監督の梨田昌孝氏もこう振り返る。

「病院に入る前の記憶がないんです。どこに行ったとか、誰と会ったとかが思い出せなかったり、前後したりしましたね。MRIで検査して問題はないと言われましたが、やはり気になります」

 こうした症状を、国際医療福祉大学病院予防医学センターの一石英一郎医師が解説する。

「後遺症の一つに、頭に霧がかかったように物事が思い出せなくなる『ブレイン・フォグ(脳の霧)』と呼ばれるものがあります。記憶力や集中力の低下、日常的な言葉を理解する能力の低下が起きる。脳に十分な酸素や栄養が行き届かなくなり、脳細胞が傷ついて起きている可能性が考えられます。

 国内外の研究者の間でコロナウイルスが脳をバリアしている脈絡叢を傷つけ脳内に侵入するという説も議論されています」

 認知機能低下の原因について、「集中治療後症候群」と呼ばれる疾患との関係も指摘されている。

「コロナに限ったことではないですが、集中治療室で治療を受けた後、身体や認知機能に障害が生じる『集中治療後症候群』を発症する場合があります」(公平病院院長の公平誠医師)

 カナダの研究機関の報告によれば、重症化した際に併発する急性呼吸窮迫症候群(ARDS)でICUに入った患者は、回復後も22~24%に心的外傷後ストレス障害(PTSD)が生じていた。

 前出のAさんには「集中治療後症候群」のひとつと言われる、せん妄の症状があったという。

「入院中は、寝ているときに大声を出して暴れることが3~4回あったそうです。まったく記憶にないけど、翌日に看護師から『昨日の夜、みんなで、取り押さえましたよ』と言われました」

関連キーワード

関連記事

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン