『ぐるなび』の滝久雄会長(時事通信フォト)

『ぐるなび』の滝久雄会長(時事通信フォト)

 そんな滝が囲碁振興イベントに熱を入れ始めた。その理由をぐるなびの関係者が明かしてくれた。

「滝の目的の一つは、囲碁好きの国会議員の多い政界に足場を築くためでした。なかでも政界で最も碁が強いといわれた与謝野馨と親しくなりたかった。それともう一つ、JR東(日本)の松田社長が無類の囲碁好きでしたから、囲碁を通じて取り入ろうとしたのです」

 滝は1995年、パソコン通信を利用した囲碁対局を発案し、それがのちに「パンダネット」と称される囲碁のインターネットアプリサイトに発展する。そんなアイディアマンの滝が1990年に創案したのが「ペア碁」である。通常の囲碁は1対1の対局だが、男女のペアが交互に石を置く。日本棋院九段、依田紀基にも滝のことを聞いてみた。

「滝さんの悲願は、ペア碁をオリンピックの種目にすることでした。実際、2010年のアジア大会で、ペア碁が正式種目として採用されたが、当時は日本棋院の大竹英雄理事長(当時)がいい顔をしなかった。

 僕は棋士会長だったので、滝さんの裕子夫人に相談されました。滝さんは与謝野馨先生と親しいと聞いたので、それなら口添えしてもらったらいい、とアドバイスしたんです。で、与謝野先生に口を利いてもらい、ペア碁が種目に入った。裕子夫人は喜んで、お礼に100グラム5000円くらいの高級な牛肉を私にくれました」

 滝の目論見は的中し、JR東日本にも食い込んだ。依田はこうも話す。

「全日空ホテル(ANAインターコンチネンタルホテル東京)37階の囲碁サロンで、毎年1月5日に滝会長主催の新年囲碁会をやってきました。それはJR東日本の松田元社長を接待するための催しで、松田さんの他にもJR関係者が4~5人、棋士やインストラクターが4~5人、合わせて10人くらい参加していました」

 昨年5月に松田が他界したため、今年の新年囲碁会は開催されなかったが、松田は滝を名誉会長とする公益財団法人「日本ペア碁協会」の理事長でもあった。協会が主催する「国際アマチュア・ペア碁選手権大会」は東京・飯田橋にあるJR東日本系「ホテルメトロポリタンエドモンド」でおこなわれ、特別協賛はJR東日本、日立製作所、日本航空の3社。協賛にはぐるなびグループをはじめ、菅の地元・横浜を走る京急電鉄や東急電鉄など菅首相に近い企業がズラリと並ぶ。

 そんな囲碁イベントの番組を放映してきたのが、東北新社の囲碁・将棋チャンネルだ。東北新社にいる菅の長男が、滝が開く囲碁イベントの番組を制作し、そのイベントに菅の親密企業がスポンサーになっている。東北新社としては願ったり叶ったりだろう。東北新社の放送事業について、あるCSチャンネルの経営幹部が解説してくれた。

「もともと(東北)新社は人形劇の『サンダーバード』という番組をイギリスから買いつけてNHKに配給して当たったんだけど、しょせん番組提供業者でしかなかった。ところが近年、米国が放送チャンネルの日本市場開放を迫り、たびたび放送法が改正され放送事業に参入しやすくなった。その中で新社も放送事業者を目指した」

関連記事

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン