国内

島根県知事に「注意する」発言 竹下亘はいったい何者なのか

サラブレッドのはずが猿山のボスに(時事通信フォト)

サラブレッドのはずが猿山のボスに(時事通信フォト)

 自民党竹下派の竹下亘会長(74)の発言が波紋を広げている。島根県の丸山達也知事が、東京オリンピックの聖火リレーを中止することを検討すると表明したことについて、「知事の発言は不用意だ。注意しようと思っている」と語った件だ。ネット上では「県の首長に一国会議員が注意するってどういうこと?」「何様?」「上から目線すぎる」など批判の嵐が巻き起こっている。

 竹下氏は島根2区出身。政界ではサラブレッドであることや自民党総務会長や島根県連会長などを務めた経験から“自分のほうがエライ”と思っている本音がポロッと出た形だろうが、そもそも彼は自民党でどんな道を歩んできたのか。

 中学校までは島根で過ごし、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学経済学部に進学。卒業後はNHKで記者として務め、その後、異母兄である故・竹下登元首相の秘書に転じた。異母兄弟といっても年齢は20歳以上違い、政界では“親子”のような関係である。一族は地元の有力な造り酒屋を代々経営し、父・勇一氏も島根県議会を務めた。勇一氏が1984年に亡くなった際には、当時の竹下登氏とライバル関係にあった田中角栄元首相が、田中派の議員を60人以上も引き連れて島根の体育館で行われた葬儀に参列したという逸話も持つ。

 小泉旋風が吹き荒れる直前の2000年、竹下亘氏は竹下登氏の引退に伴って島根2区から出馬、初当選を果たす。2005年の郵政選挙では、元自民党で郵政民営化に反対して“小泉政権の敵”となった亀井久興氏(国民新党から出馬)を破って3選。その論功行賞で環境大臣政務官に就いた。

 初入閣は2014年、第2次安倍内閣の復興大臣だ。順調に出世してきたかに見えるが、実は竹下氏はその後、長期政権となった安倍晋三・前首相から遠ざけられた。自民党古参秘書が語る。

「当選7回もして派閥領袖まで務めているが、やった大臣は約1年間の復興相だけ。中枢となる財務相や外務相といった大臣職は経験させてもらっていない。というのも、安倍氏は細田派、麻生派で支えられており、竹下派は総裁選のたびに“政策的には岸田(文雄氏)がいい”などと態度がフラフラしていたから。長期政権になるにつれて、どんどん遠ざけられていった」

 その間、竹下氏は自民党の総務会長や国会対策委員長も務めているが、官邸中心の権力構造で“政高党低”と言われた中で「低い」扱いをされていたことは否めない。

 昨年9月の菅義偉首相が選ばれた自民党総裁選でも、若手が茂木敏充外相の総裁選出馬を求める中で一時は派閥の意見をまとめきれず、「竹下派分裂か」と懸念されるほどだった。ギリギリで菅支持を取り付けた竹下氏は「一枚岩」をアピールしたが、かつては全員で同じ弁当を食べて“一致団結、箱弁当”と表現されたほど鉄の結束を誇った竹下派もいまや見る影なし。竹下氏の求心力のなさが露呈した出来事だった。

 前出の自民党古参秘書が語る。

関連記事

トピックス

米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
埼玉では歩かずに立ち止まることを義務づける条例まで施行されたエスカレーター…トラブルが起きやすい事情とは(時事通信フォト)
万博で再燃の「エスカレーター片側空け」問題から何を学ぶか
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
事業仕分けで蓮舫行政刷新担当大臣(当時)と親しげに会話する玉木氏(2010年10月撮影:小川裕夫)
《キョロ充からリア充へ?》玉木雄一郎代表、国民民主党躍進の背景に「なぜか目立つところにいる天性の才能」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
米利休氏とじいちゃん(米利休氏が立ち上げたブランド「利休宝園」サイトより)
「続ければ続けるほど赤字」とわかっていても“1998年生まれ東大卒”が“じいちゃんの赤字米農家”を継いだワケ《深刻な後継者不足問題》
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン