ルールを「イメージする力」が最重要

「脳の学校」代表で医学博士の加藤俊徳さんは、「偶数、奇数がわからない」という表面的なことだけでなく、その裏に隠された問題を指摘する。

「数学が苦手な人、数字の“記憶”が苦手な人、数字にまったく触れる機会がない人など、あらゆるケースが予想されますが、脳科学において最も重要なのは、そもそも『偶数、奇数』という数学の『ルール』を『概念』としてイメージする力があるか否かです。“偶数は2で割り切れて、奇数は2で割り切れない”といった法則を想像できるかどうか。

 また、かつては頭に入っていたはずなのに、その後の経験が影響して概念をあやふやに変えてしまったり、考えることをさぼるという『脳の劣化』の可能性もある。現代人はこの『脳の劣化』が特に指摘されています」

 概念をイメージするとは、言い換えれば、ひとつの物事を表面だけでなく、背景まで含めて全体の集合体として理解すること。

「たとえば、誰かがSNSで、『Aが嫌いだ』とつぶやいたとする。そのつぶやきに至るまでの経緯、発言者とAさんの関係など、全体を把握して初めて、第三者は『嫌い』という言葉の真意を理解することができる。

 ところが、脳の劣化によりイメージ力が乏しくなると、“なぜそうつぶやいたのか”まで掘り下げずに、表面的な言葉だけを切り取って短絡的になってしまうのです」(加藤さん・以下同)

 現代は、物事を深く知らずとも、スマホで検索すれば簡単に「答え」が出てくる。覚えること、思考することからかけ離れるほど、脳の劣化は加速してしまう。

「偶数や奇数がわからないのは、それらの概念を把握する脳の部分が使えていないだけの場合もあります。それならば、そこをまた使うようにすると、再び覚えることができます。偶数、奇数の話に限らず、脳を使うことをさぼってはいけません」

 数字では割り切れない問題の方が人生には多い。荒波を乗り越えるには、“イメージする力”を鍛えるほかない。

※女性セブン2021年3月4日号

関連記事

トピックス

柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン
インフルエンサーの景井ひなが愛犬を巡り裁判トラブルを抱えていた(Instagramより)
《「愛犬・もち太くん」はどっちの子?》フォロワー1000万人TikToker 景井ひなが”元同居人“と“裁判トラブル”、法廷では「毎日モラハラを受けた」という主張も
NEWSポストセブン
兵庫県知事選挙が告示され、第一声を上げる政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏。2024年10月31日(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志容疑者、14年前”無名”の取材者として会見に姿を見せていた「変わった人が来るらしい」と噂に マイクを持って語ったこと
NEWSポストセブン
千葉ロッテの新監督に就任したサブロー氏(時事通信フォト)
ロッテ新監督・サブロー氏を支える『1ヶ月1万円生活』で脚光浴びた元アイドル妻の“茶髪美白”の現在
NEWSポストセブン
ロサンゼルスから帰国したKing&Princeの永瀬廉
《寒いのに素足にサンダルで…》キンプリ・永瀬廉、“全身ブラック”姿で羽田空港に降り立ち周囲騒然【紅白出場へ】
NEWSポストセブン
騒動から約2ヶ月が経過
《「もう二度と行かねえ」投稿から2ヶ月》埼玉県の人気ラーメン店が“炎上”…店主が明かした投稿者A氏への“本音”と現在「客足は変わっていません」
NEWSポストセブン
自宅前には花が手向けられていた(本人のインスタグラムより)
「『子どもは旦那さんに任せましょう』と警察から言われたと…」車椅子インフルエンサー・鈴木沙月容疑者の知人が明かした「犯行前日のSOS」とは《親権めぐり0歳児刺殺》
NEWSポストセブン
10月31日、イベントに参加していた小栗旬
深夜の港区に“とんでもないヒゲの山田孝之”が…イベント打ち上げで小栗旬、三浦翔平らに囲まれた意外な「最年少女性」の存在《「赤西軍団」の一部が集結》
NEWSポストセブン
スシローで起きたある配信者の迷惑行為が問題視されている(HP/読者提供)
《全身タトゥー男がガリ直食い》迷惑配信でスシローに警察が出動 運営元は「警察にご相談したことも事実です」
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月10日、JMPA)
《初の外国公式訪問を報告》愛子さまの参拝スタイルは美智子さまから“受け継がれた”エレガントなケープデザイン スタンドカラーでシャープな印象に
NEWSポストセブン
モデルで女優のKoki,
《9頭身のラインがクッキリ》Koki,が撮影打ち上げの夜にタイトジーンズで“名残惜しげなハグ”…2027年公開の映画ではラウールと共演
NEWSポストセブン
2025年九州場所
《デヴィ夫人はマス席だったが…》九州場所の向正面に「溜席の着物美人」が姿を見せる 四股名入りの「ジェラートピケ浴衣地ワンピース女性」も登場 チケット不足のなか15日間の観戦をどう続けるかが注目
NEWSポストセブン