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どんな問題でも、脳を使うことで理解していくことが可能(写真はイメージ)

日本人は必要以上に気にしすぎる

 まず、「忘れてしまった」というパターン。

「昔は理解できたけど、忘れてしまった人がいるのでしょう。偶数、奇数は覚えていても、『自然数って何? 有理数は何?』と聞かれると、学生時代はわかっていたはずなのに、わからなくなっている人は多いはず。英単語や歴史上の人物も、言葉や名前は“わかる”けど、説明はできない人がいる。日常生活で使わないことは、忘れてしまうものです」(繁田さん)

 たまたま、「偶数、奇数」のみが苦手だっただけという可能性もある。精神科医で教育問題にも詳しい和田秀樹さんが話す。

「極めて狭い範囲での学習に障害が及ぶ、『限局性学習症』というものがあります。数学なら『算数障害』、国語なら『国語障害』とも呼ばれ、たとえば、算数ができないわけではないものの、“文章題を数式に変換するのが難しい”“数字の大小の判断がうまくできない”といったケースがあります」

 わからないからといって騒ぎ立てることではないと和田さんは続ける。

「かくいう私は、左右の判断をとっさにするのが苦手です。運転中に隣りで『その角を右』とナビされると、一瞬では判断できず不便に感じることがあります。しかし“文字を書きやすい方が右”と、思考時間を挟めば判断できるため、日常生活に困ることはありません」

 灘高から東大医学部へと進学した和田さんであってもこのとおり。つまり、いわゆる“学力が低い”ことと、この問題は関係がないケースも往々にしてある。

 同じように、左右の判断に混乱する人は海外にも。オーストラリアの大学に通うダコ―ディア・レインさんは、日頃から左右をしょっちゅう間違えて、周囲に迷惑をかけることもあったという。そこで、正しく認識するための解決策として、左手に「L」(Left)、右手に「R」(Right)のタトゥーを入れた。レインさんのタトゥーがインスタグラムで公開されたところ、「私にも同じタトゥーがある」「マネしたい」といったコメントが数多く寄せられ、共感を呼んでいる。

 こういった問題を必要以上に気にしてしまうのは、日本人にありがちなことだと和田さんは言う。

「日本では、一定水準の教育を小さいときから均等に受けさせるため、『できて当たり前』と多くの人が認識しているのでしょう。もちろん、教育のおかげで日本人は高い識字率を誇っていますが、一方で、できないことや失敗を恐れすぎたり、それを攻撃する国民性が目につきます」

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