元次官の前川にも、その点を確かめた。
「前科どころか、役所で懲戒処分を受けているだけで、叙勲や褒章の対象から外していました。文化功労者も普通は外されるはずなので、推薦されれば文科省の中で問題になります。元官僚への叙勲もありますが、私自身、事務次官時代に懲戒処分を受けて辞めているから、対象にならないと思っています」
滝は自身の文化功労者選出について、「ペア碁、パブリックアートなどの蓄積された実績が評価の対象となっていますので、現政権とは関係がないと理解しています」(ぐるなび総合政策室)と答えた。
ペア碁の振興が認められて文化功労者に輝いた滝久雄とそれをバックアップしてきた首相の菅義偉。さらに「囲碁・将棋チャンネル」で大会を放送してきた長男の東北新社もまた、そこにひと役買っている。持ちつ持たれつの“共助”の三密というほかない。
【プロフィール】
森功(もり・いさお)/1961年福岡県生まれ。岡山大学文学部卒。新潮社勤務などを経て2003年よりフリーに。2018年、『悪だくみ―「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。近著に『鬼才 伝説の編集人 齋藤十一』『菅義偉の正体』。
※週刊ポスト2021年3月12日号