ライフ

死亡することもある睡眠中の低血糖 健康な人にもリスクあり

(写真/PIXTA)

「夜間低血糖」は健康な人でも起こる(写真/PIXTA)

 人は1日の約3分の1を寝て過ごす。その時間は生命を維持するために欠かせないものだ。しかし、寝ている間に生命の危機にさらされることもあるというのだ。

 寝ている夜間に起こるリスクの高い症状として、「夜間低血糖」がある。新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんが言う。

「血糖値も血圧のように、交感神経と副交感神経によって左右されやすい。自宅でリラックスすると下がりやすい傾向があり、寝る前に糖尿病の薬をのむと夜間に血糖値が下がりすぎて死亡することがありうる。海外の文献でも報告されています」

 このように「血糖値」と聞くと糖尿病の人だけの問題かと思いがちだが、夜間低血糖は一見、健康に見える人にも起きるというから驚かされる。新宿溝口クリニック院長の溝口徹さんが解説する。

「睡眠中に低血糖に陥ると、急降下した血糖値を回復させるためにアドレナリンやコルチゾールといった人を興奮させるホルモンが一気に分泌され、交感神経が優位になります。すると眠っていても体が“戦闘モード”に入ってしまい、寝汗、歯ぎしり、悪夢などを見ることになり、睡眠の質が悪くなるのです。

 患者の中には、無意識に起き上がって甘いものを食べたり、『夜中に炊飯器の中のご飯を食べて空にしていた』と家族に指摘されて気づく人もいます」

 さらに溝口さんによれば、2011年の欧州糖尿病学会で、「夜間の軽い低血糖による睡眠の質の低下が、パニック障害やうつ病にもつながる」との調査結果が報告されたという。

 夜間も含め、低血糖は、筋肉量の少ない女性の方が男性よりも発症しやすい。予防するには、食事の改善が第一だ。糖質を食べて血糖値がはね上がった反動で低血糖が起こるため、夕食の糖質を見直そう。

「自身が夜間低血糖だと疑いのある人は、糖質を制限した食事を試してほしい。夕食はチーズやナッツ、焼き鳥や豆腐など、糖質が少なく、血糖値を急上昇させにくいものを食べる。食べる順番も、ご飯など糖質の高いものは、ほかのおかずを食べ終わってから。1週間続けて、様子を見てください」(溝口さん)

 寝苦しさを感じているなら一考してみる価値はあるかもしれない。

※女性セブン2021年3月11日号

関連記事

トピックス

出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でハリー・ポッター役を演じる稲垣吾郎
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演、稲垣吾郎インタビュー「これまでの舞台とは景色が違いました」 
女性セブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反容疑で家宅捜査を受けた米倉涼子
「8月が終わる…」米倉涼子が家宅捜索後に公式SNSで限定公開していたファンへの“ラストメッセージ”《FC会員が証言》
NEWSポストセブン
巨人を引退した長野久義、妻でテレビ朝日アナウンサーの下平さやか(左・時事通信フォト)
《結婚10年目に引退》巨人・長野久義、12歳年上妻のテレ朝・下平さやかアナが明かしていた夫への“不満” 「写真を断られて」
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン