放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、1月29日から2月14日までに開催された「よみがえる明治座東京喜劇」について綴る。
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私の企画の浜町・明治座23公演が無事幕を閉じホッとする日々。思えば1年半前に明治座から“東京喜劇”の為何かやりませんかと打診され、「芝居」と「寄席」の二本立てを豪華に楽しくやろうと提案。“のり平喜劇”をベースに脚色・演出ができるのは──と考え、宅間孝行を指名。「こちとら大奥様だぜぃ!」の脚本が出来、キャスティング。舞台ではぶっちぎりのコメディエンヌ田中美佐子、そして前川清、原田龍二、東貴博、磯山さやか、松村邦洋ら。
二部は昭和45年まですぐ近くにあった「人形町末廣」をセットで再現。アンツル先生こと安藤鶴夫のエッセイを短かく私が朗読する所へ、盆(まわり舞台)がまわって高座が出てくるというオツな寸法。駆けつけてくれた江戸っ子達が皆な喜んでくれた。
私ならではのグゥの音も出ない顔付け(キャスティング)で連日、日替りの出演者。東京の“芸”をこよなく愛する人達にとっては夢のオールスターになったと自負。初日がナイツ、サンドウィッチマン。そして小遊三、昇太、市馬、たい平、一之輔、志の輔、志らく、神田伯山、玉川奈々福、さらに清水ミチコ。その他様々。出演者もスンナリ決まったところで1年前のあのコロナ騒動。果して2021年1月に幕は開けられるのか。ドギマギ。
「芸能芸術」は“不要不急だ”まで言われ、次々と芝居やコンサートが中止のニュース。
いよいよ芝居の稽古に入るという昨年暮れ、出演者、スタッフ総勢100名がPCR検査も度々。全員陰性の報に私もホッ。安心して夜中ビールを呑んでいたら家の電話が鳴り「もしもし、あのォ、松村クンに出ました」ガ―ン。おいッここへ来ての中止なのか……天は我を見離したのかと、古い映画のコピーが浮かぶ。松村もコロナと闘い、無事稽古スタート。