智弁学園は昨夏は中京大中京に悔しい敗戦(撮影/藤岡雅樹)
また、大阪桐蔭では新2年生の松尾汐恩選手もメンバーに入っています。彼のご両親が、たまたま京都の焼き肉屋で僕を見て声をかけてくれて、「息子が大阪桐蔭に行くんです」と教えてくれたんです。実は彼、小学生の頃に甲子園で僕と一緒に写真を撮ったことがあるんだそうです。あの日本一競争の激しい大阪桐蔭で、下級生でベンチ入りするなんてきっと実力者であるはずです。記者の方に聞くと、本職のショートではなく、扇の要となる捕手を守る可能性が高い、と。よほど西谷浩一監督から信頼されているんでしょう。
僕は大阪在住ですから、どうしても近畿圏の球児にばかり注目してしまうんですが、やはり市立和歌山の小園健太投手(3年)と、松川虎生捕手(3年)は外せません。選抜切符を勝ち取った近畿大会を見ていて、最速152キロの小園投手の、145キロぐらいのボールの伸びがえげつない。思いっきり腕を振っているようには見えない、力感のないフォームで、スタミナもあって、後半のイニングでも初回と同じような質の高いボールが投げられる。将来、プロになって、ふた桁勝つような投手に育つ可能性が高いんちゃいますかね。顔つきはプロボクサーの村田諒太さんと似ていて、書道が十段とか。
その小園投手と中学1年の時からバッテリーを組み、中3では一緒に全国大会優勝を果たした松川捕手も、大型で、高校通算32本塁打と一発の魅力があります。一昨年の夏の甲子園で準優勝した星稜の奥川恭伸投手と山瀬慎之助捕手のように、中学時代からの全国制覇バッテリーは注目を集めるはず。
また中京大中京の畔柳亨丞(くろやなぎ・きょうすけ)投手(3年)も、世代を代表する右腕です。智弁学園の関係者が、「去年の夏の交流試合で高橋君と当たってなんとか戦えたと思ったら、新チームにもまた高橋君みたいな投手がいた」と話していました。とんでもない逸材が出た翌年のチームは、大黒柱が不在で困ることが多いんですが、中京大中京にはその心配はないですね。畔柳投手は中学硬式野球のヤングリーグの全国大会決勝で、小園投手に敗れているそうです。甲子園で雪辱したい気持ちもあるのではないでしょうか。
そして僕が優勝候補の一角に挙げているのが宮城・仙台育英です。同校には、兵庫県の淡路島で育った僕の中学・高校時代の同級生の息子である、岡田大成選手がいます。彼は選抜開幕前に発売された高校野球雑誌で、好きな芸能人のアンケートに僕の名前を書いてくれていた。そんな選手は、3年前の小園海斗選手(報徳学園-現・広島)以来です。軟式の野球部に所属していた中学時代、横浜スタジアムの右中間フェンスに直撃する一打を仙台育英の須江航監督が目撃し、二度も淡路島に足を運んで勧誘したという逸材で、左右の違いこそあれ、同校のOBである上林誠知選手(現・福岡ソフトバンク)の高校1年生の頃と比べても遜色ないと須江監督は話されていました。