IOCのバッハ会長が考えているのは放映権料のことか(時事=IOC提供)
もうひとり、スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏も主催者側の「不純な動機」を厳しく指摘する。
「大会として成立していればいいというオリンピックなど、もはや本来のオリンピック精神なきスポーツイベントにすぎません。スポンサーとテレビ局に支えられているだけ。まして、無観客とか日本人観客だけでやる世界の祭典に意味などありません。そもそも世界中で代表選手がまだ6割しか決まっていない。予選会が予定通りに開けないからです。どんな基準でどうやって選ぶのか、競技としての公平性さえ失われつつあります。
IOCは選手に対して中国製ワクチン接種を進めようとしていますが、100分の1秒を争っているアスリートに競技直前にワクチンを打って、体になんの影響もないなんてことはあり得ない。これだけ見ても、もはやこのオリンピックはアスリート・ファーストではなく、金儲けの道具になっていることがわかります。このまま推し進めることは、日本の国際的な立場を貶めることになると思います」
多くの国民は、両氏が指摘したような「五輪ムラ」の利権構造をかぎ取っている。それが世論調査の結果に表れているのだろう。世界の冷たい目にさらされながら、いよいよ聖火リレーがスタートしようとしている――。