受賞は叶わなかったがパフォーマンスは高い評価を得た(写真/GettyImages)
米メディアが相次ぎグラミー賞を批判
しかし、そんな祝福ムードに水を差すような騒動が起きた。授賞式から2日後、米トレーディングカード大手「Topps」がBTSを侮辱するような風刺調のカードを販売したことで、世界中から非難が殺到。カードには、「K-POPをぶっ叩く」という文言とともに、傷だらけのメンバー7人を“もぐらたたき”に見立て、怯えた表情で穴から顔を出しているメンバーのイラストが描かれていた。Twitterでは、抗議の意を示すハッシュタグ「#RacismIsNotComedy」がトレンド入りし、Topps社は謝罪する事態となった。
人種差別的な描写に当然ながらARMYたちは怒り心頭だ。「いつから人種差別を“風刺”と呼ぶようになったのか。これは差別であり暴力だ」、「“カードの販売を中止したのだから良いだろう”というTopps社の態度も深刻な問題」、「嫌悪、差別、暴力を前提したイラストを描いておいて、“冗談が通じない”と言ってうやむやにするのはおかしい」、「“表現の自由”という言葉で人種差別をするのは止めてほしい」。SNSでは、「#RacismIsNotComedy」、「#StopAsianHate」というハッシュタグとともにこんなコメントが並んだ。
怒りの矛先は、Topps社だけでなくグラミー賞を運営するレコーディングアカデミーにも及んだ。米CNNは、グラミー賞が放送されている時間帯のTwitterのハッシュタグを分析し、グラミー賞とBTSの両方を含むツイートは440万件以上あったのに対し、BTSを除いた「#Grammys」は150万件に過ぎなかったことを指摘しながら、「BTSがいたからグラミー賞に関心を持つ人が多かったのに、運営側はそれに気付いていないようだ」と批判。「多様なクリエイターと観客がグラミー賞を必要とする以上に、グラミー賞が多様なクリエイターと観客を必要としている」、「(有名アーティストがグラミー賞でのパフォーマンスを断る中)BTSは義務ではなく愛情を持ってパフォーマンスを行い、純粋な喜びで歌い踊った。人種や言語、文化、アイデンティティが違っても、音楽が国境を越えて私たちを結びつけることをはっきりと思わせてくれるパフォーマンスだった」と報じた。
米TIME誌も似た論調だった。授賞式の放送中、視聴率のために「次はBTSが登場(BTS COMING UP NEXT)」と繰り返し告知しながら4時間も引っ張ったことを皮肉り、「BTSは手ぶらで帰ったが、今後さらに(視聴者に)歓迎されるグラミー賞パフォーマーになるだろう。次のグラミー賞のステージでは韓国語で歌うかもしれない」と伝えた。